【銀魂】うまく生きる為の方法

落ち着かない ページ7

「・・ったく、仕方ないね」


全ての事情を聞いたらしいその女性は、
身をブルつかせていた私に、優しく手招きした。



「派手にやられたね」

「・・ははは」



椅子に座った私の患部を静かに観察し、
持ってきた湿布を貼り付けてくれた。

じんわりとした冷たさが、
頬の腫れを鎮火してくれているようで心地いい。

一瞬微笑んだその人は、次に納豆男をキッと
睨みつけた。




「本当にあんたがやったんじゃないんだね？」

「オイオイなに身も蓋もねェ疑い持ってんだ！
んなわけねーだろクソババア！」


「あぁあその人に身体的なダメージは負わされて
ないので！け、喧嘩はその辺にして・・」



精神的ダメージは負わされたけど。


落ち着かない。ここが完全な他人の家だということ
もあるが、ーーどうも、私はこんな賑やかさに
馴染みがないんだろう。

元々、静かなところが好きだし、ドンチャン騒ぐような友達もいないのだから当たり前。


なんだか新鮮だなぁ、と。やけに感心してしまった






「ーーーまあ、あんたも暴力的な男とは
さっさと縁切ることだね」


「え？・・あ！彼氏にやられたわけじゃなくて」

「そうなのかい？」

「そーそー。こんな外面女に彼氏なんざいねーよ」
「否定するのそこォォォ！？」



とんでもなく失礼だ。私はこう見えてモテるんだぞ
彼氏は・・今はいないけど！

少なくとも、このテキトーの化身みたいな男に
言われたかない！




・・って！いかんいかん！





「ーーーと、とにかく！ありがとうございました！
まだ仕事がありますので、私はこれで・・、」




まんまとこの人達のペースにハマってしまった。
とっとと帰らなきゃ、助手の小言が増える。





「帰り、気をつけな」

「ど、どうも！」



女性の気遣いに、ぺこり、会釈をして店を出ると、
すでに日は完全に暮れていた。

街灯の明かりと、飲み屋の電気が目立ち出している




(ーーそういえば、ここ歌舞伎町だった)



外回りの診察でも入らない限り、ここら辺には
滅多に来ないもんなあ。

夜になるにつれ賑やかさを増している街は、
どこかイキイキとしていて。昼から飲んでいたんだ
ろう。すでに出来上がったおっちゃん達が二軒目を
探している。・・うーむ、やはり落ち着かない。



逃げるように帰途を辿る私は、普段とは違う空気に
妙にソワソワしてしまうのだった。

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