【銀魂】うまく生きる為の方法

事実 ページ11

相談室の近くにある定食屋は、昼のピークを過ぎた今は、比較的静かだった。いつもならば、ラッキーだと優雅な昼食にとりかかるのだが。今日は持っている箸を折りかけた。






「・・そろそろ通報しようかな」

「んだよ、450円の牛丼くらいサラッと奢れよ」
「払わないからね私は！」



カウンター席の隣に陣取った男は、さも私の方が
ぐずっているかのような口ぶりだ。
ふざけんじゃねぇ！

うどんをすすりながら睨みつける。なんて腑抜けた
野郎なんだ。どんな仕事してんだか。






「ーーーよし、そろそろ始めっか」

「何を？あんたの職探し？どーぞご勝手に」
「ちっげェよ！テメェの愚痴聞くっつったろ！」


「・・・はあ！？」




待て。本気で言ってたのかこいつ。
軽い調子で言ってたから、てっきり私に奢らせるための口実だとばかり思ってた。嘘平気で吐き出す
タイプなんだなクソ野郎って思ってた。ーーのに、






「・・・ほんと、つくづく変な男だわ」

「あ！？テメェに言われたくねーんだよ！」



何を根拠に私を変人だと思ったのか。
まあ今はそれはいい。・・多少面喰らいはしたが、








(・・まあいっか、どうせ他人だし？)




これまで散々苛つかされた分、ストレスのはけ口に
なってもらおうじゃないか。

少し、話してみようか








「ーーー・・私はちゃんとしたカウンセラーじゃ
ないからさ。客の中にはナメてかかる輩も
いるんだよね。若い子とか特に」

「だろうな。お前みてェな若ェ女が相手じゃ」

「いやさ・・、健康男子って怖いよね。
もうほとんど猿だよね？セクハラって多いわけよ」

「胸でも触られたのか」

「いや・・、"ヤラせてくれたら立ち直るから"とか
"先生が慰めて"とか」

「なるほど言葉攻めか」
「嫌な言い方やめてくれる！？」



人の仕事を一種のプレイみたいに言うなっての。



「まあその手の輩は、助手が背負い投げるから
実際襲われたことはないけども」


「・・あの助手って防犯機能でも搭載されてんの」

「奴の機能は防犯にとどまらない」

「新人類か」



いやほんと、優秀な助手だよ。




「お前、案外苦労してんだな」

「私の人生は苦労と屈辱の連鎖ですー」




今でこそ、それなりに楽しくやってるけれど、
この形にたどり着くまでの道は壮絶なもんだった。





「随分と悲観すんだな」

「悲観してるわけじゃない。事実なの」



別に皮肉言ってるわけでもない。
イジけてるわけでもない。ーー単に事実なのだ。

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