【銀魂】うまく生きる為の方法

自堕落 ページ27

この男を前にするといつも負けた気がするのは、

おそらくこいつの自堕落かつ気の向くままな人生に
本人が完全に開き直っているせいだと考える。

そうすることで、これから起こるいかなる失敗や
予想外の出来事に対して諦めにも似た堂々さが
芽生えるという寸法だ。



ーーなんて。心の中でディスを吐いても
目の前の男が手紙の中身を追う目は止まらない。






「"一目見た時から、あなたのことが忘れられません"・・か。ありきたり過ぎて面白くねーな」

「ラブレターに面白いもクソもないです」



そう。私が好きだという気持ちが伝わればそれで
よいのだ。そういうものなのだラブレターとは。

こんな擦れまくったスケコマシには
わからないと思うが。





「ーーてか、冷やかしならおかえり願えますか？
私も暇じゃないんで」

「冷やかしじゃねーよ。カウンセリング」

「だから、お前にはカウンセリングの必要性を
感じねぇっつってんのォォ！」

「いや、俺じゃなくて」




「お前のな、」と。彼が指した先には、間違いなく
私がいるわけで。しばしキョトンと。





「は？わたし？」

「お前の仕事は人の悩みをきいて、慰めたり、
一緒に解決方法探したり、共感してやることだろ」

「はぁ、」

「なら、ーーーお前の悩みは誰が聞いて、慰めて、
一緒に解決法探ってくれんだよ」


「えっと・・、」

「溜まったストレス抱え込んだまま人のマイナス面
の相手するなんざ面倒この上ねーだろうが」




まあ確かに、言ってることはわかる。
こういう仕事だから、人の汚い部分や弱い部分を
日頃、目の当たりにするし、そういうマイナスの
雰囲気に当てられて気分が沈む時もある。

気持ちの余裕がない客に八つ当たりされることも
しょっちゅうである。それに対してブチ切れたい
衝動を笑顔の裏に飲み込み、目の前の相手に
接していく。


それは仕事であり、世間から見れば、私がその立場にいることは当たり前である。もちろん、私自身も
そう思っている。ーーだから、坂田銀時の言葉に
驚いてしまった。




(・・こんなこと言われたの、初めてだな)





「今日の夜、あけとけ。飲みにいくぞ」

「なっ、また勝手に・・！」

「相談料は店での食事代で手を打ってやる」





まただ。人のペースなどおかまいなし。
もう用は済んだとばかりに席を立った男の背中を
見送って、一人ため息をついた


結局、格安の相談料は、私が食事代を払うことに
よって、奴に返還されてしまうようだ

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