【銀魂】可もなく不可もなく

毒舌 ページ29

やっと荷物から解放された、と名一杯の背伸びをかます銀さん。風の強い今日、私は煽られた髪を耳にかけ直しながら。








「本達のこと荷物なんて言わないでくださいよ」

「紛う事なきただの紙束だろうが。現実を見ろ」




さて、用事も終わったしこれからどうしようかな、
なんてチラリ、彼を見やる。そりゃあこれで依頼は
終了だし、ここで別れてもいいんだけど。

ーーでも、何だかなぁ。





(・・せっかく会えたし)



これぞ悲しき一人暮らし独身女子の考えなのか。
ふと湧き出た気持ちは恥ずかしいものだった。

がっと熱くなる顔をうつむかせ、ひたすら足元を
眺める私の耳に、「ーーうわっ」と。
汚物を踏んづけた時のような銀さんの声。






「銀さん？」

「・・最悪」

「へ？」



銀さんの視線は前方に固定されており。

嫌さを全面に出した彼を不審に思い、
顔を上げた私は、原因を知る。ーーあぁ、何か納得







「・・真選組」


「ありま、こりゃ珍しい組み合わせですねィ」

「ったく、昼間っから何でこんな犯罪者に
出くわさなきゃなんねェ。何の呪いだ」

「うるせーよ！俺だってテメェみてーな腐れ警察に
なんざ会いたくねーよ！」




黒服に身を包んだ二人。
一人は眠たげにあくびをかまし、
もう一人は青筋を浮かべ紫煙を吐き出している。

ご存知の通り、この人たちは店の宅配サービスの
常連であり、顔見知りだ。

そうして、何の因果か、万事屋さんたちとも
縁があるらしく。銀さんが何度か愚痴を吐いて
いたのを聞いたことがある。


どうやら、思ってたより険悪そうだ。
副長さんと睨み合いが始まった。





「ーーーいやぁ、それにしても驚きやした。
あんた、旦那とどんな関係で？」

「どんなも何も、私は依頼人ですよ」




沖田さんはといえば、至極面白そうに。
いつも通りだ。私で遊んでる。


こういう時は、冷静に受け流すのが得策。





「オイA！！こんな腐れ警察に構ってる暇は
ねェ！とっとと帰るぞ！胸糞悪ィ！」

「ハイハイ、銀さんも人のこと言えませんよ。
腐り落ちてますから」

「どういう意味だ！」




私が毒舌かどうかより、今重要なのは、
こんなところで御構い無しに喧嘩することについて
どう対処するかだ。






「・・へー」

「何ですか」



そんな私の様子に目もくれず、沖田さんはふたたび
何やら企んでいるらしい。警戒はするが、残念ながらこの人の仕掛けてくることを退ける術がない。

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