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真冬のベンチ ページ36

ー土方サイドー




真冬の非番ってのは、面倒なもんで。
暇だからと散歩に出かければ、寒いわ人が多いわ
道は滑るわ。いいこと無しだ。


白い息を紫煙に混ぜながら、人の中を歩む。
日曜日とあって賑わいを見せる街の中。


上京してから随分経ったからか、
人にもまれることにも慣れてきた。








「ーーー・・あいつァ、」



まだ、遊郭の中だろうか。


無意味な思いがふと頭をよぎる。
どれだけ振り払おうとしても、奥底にこびりついて
消えちゃくれねェ。


表情や、声、感触。
全部鮮明に記憶している。

忘れられねェ。ーーー忘れちゃならねェ。







「・・つっても、」




どうにもできやしねェ。

俺は、何が気に食わねーんだろうか。
何が引っかかっているんだろうか。

あいつがあそこにずっといること?
何かをずっと我慢していること?

どれも正解で、どれも不正解。



つまるところ、俺にも理由なんてわからねーんだ。




ただ放っておけねェ。それだけで、あいつの元へ
向かう足は、止まることはない。









「・・あ?」




随分遠くまで歩いたなと思った。
道はわからなくないが、あまり見覚えのない場所へ
出てきてしまった。

一旦立ち止まった俺は、何気なく泳がせた
視線の先で、ーー見慣れた姿を捉えたのだった。





そいつは、厚めの羽織、長い襟巻きに顔を埋めて
静かに座ってあり。周りから自分の存在を
消そうとしているように見えた。

しばらくして、そいつは後ろに首をもたげ、
空に視線を向ける。



・・確かに見覚えのある、女。


その細い体の線と、整った目元。
俺を惹きつけるその感じは_____、









「ーーーA?」






思わず名を呼べば、女は勢いよく顔を上げた。
驚いたように目を丸くして俺を見る。

口から小さく、「お兄さん・・?」と。
そう紡がれた気がした。そうして次に、









「何を、しているんだい」

「・・そりゃこっちのセリフだ」





Aはなおも混乱冷めやらぬといった様子で、
ベンチから遠慮がちに腰を上げた。

口実→←懲りてない



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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - ややさん» ありがとうございます!嬉しいですっ!!読んでくださり、感激でいっぱいでございます!がんばります! (2018年2月1日 20時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
やや(プロフ) - 凄くいい話ですね尊敬しましたこれからも更新頑張って下さいね!!! (2018年2月1日 19時) (レス) id: 551e634984 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます!土方さんは、実は優しいんじゃないかな?というのが私の妄想です笑。きっとピンチに助けに来てくれるはずです!あと少し、お付き合いいただけると嬉しいです! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 愛音さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!ちょっと土方さんがヘタレになってしまいましたが…最後はきっとビシッと決めてくれるはず…です!頑張ります! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!何とか一巻完結ということで、どうなるのやら私もわかりませんが、頑張って収めたいと思います!どうぞ楽しんでいただけると光栄です! (2018年1月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月4日 1時

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