【銀魂】衝突必須の求愛物語

いろんな要素 ページ32

(ーーつまり、・・あれは)




水を注いでコップを渡してくれたのは、
団長だったのだろうか。





「・・・あいつが看病なんて人並みなこと
できたとは、初耳ですね」

「いやぁ、それに関しては俺も意外だった。
ーーーま、相当お熱っつーことだろ？」


「・・・やめてください」





そういえば、"どーぞ"と聞こえたその声も、
団長の、意図の読めないあの、無駄に耳障りの
いい声だった気がしなくもない。

だがしかし、あの兎、そんな気が効くモンだろうか。ほぼあいつで確定なのだけれど、
それでもやはり確信が持てないのは、日頃の
行いのせいとしか言いようがない。






「ーーー最近、柔らかくなったな」


「はあ？あの兎が？先日大量殺戮やり遂げた
ばっかじゃないですか」

「団長じゃねェ、・・お前さんのことだよ」.



「私・・？」




資料を整理する手が、ピタリと止んだ。

後ろで柱にもたれ腕をくむ副団長を振り返れば
面白がるような顔色て笑っていて。






「これまでは、夜兎は嫌いだ何だ、団長に関しては親の仇みてーなツラで見てたじゃねーか」


だが今はどうだ？、と。ーーそんなもの、
変わっちゃいない。夜兎は嫌いだ。その中でも
団長はもっと嫌い。だって血の臭いがするから
血は苦手だし。





「ほんの少し、団長に懐緩ませられてるだろ」

「・・・、」




ーーーでも、この時私は、否定できなかった。

口先で喧嘩なんてやりなれてるし、むしろ私には口先で勝つより他に勝負に勝つ算段なんて
一つもない。


けど、何の返しも思いつかなくて。




そういえば、言い合いや悪態オンリーとはいえ
団長と以前よりよく話すとか。

そういえば、団長の目を見るようになったとか

そういえば、前ほど嫌悪感や憤りに似た感情を
抱かなくなったとか。・・まだむかつきは
するけれど。




そんないろんな要素が、垣間見えて。



今回の看病のことだって、聞いた途端に湧き上がってきた感情が、暖かいものだったことは
誤魔化しようがなかった。


言われるまでもなかったが、認めたくなかったし。でも、いざ問われてしまうと言い訳が
でてこない。






「・・・副団長まで仕事サボるんですか」

「おっと、そりゃすまねーな」




苦し紛れに話をそらそうとした私の行動はきっとこの副団長にはばれてしまっているだろう







(ーーーふざけてる)




去っていった副団長の姿を見送りながら
私は自分への嫌悪と謎に眉をしかめた。

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