【銀魂】衝突必須の求愛物語

耳を疑う ページ31

「ーーそういえば、あれ、何だったんだろう」




次の日、起きた時にはすっかり本調子を取り戻していた私は、いつもより早く仕事に取りかかっていた。

積まれた資料を抱え、保管庫に向かう道中
ふと考えついたのは、ーー昨日、寝ている間に
起こった不思議な出来事である。






「水・・、自分で取りに行ったわけじゃ
ないよね」




ふと目が覚めた私は、強烈な喉の渇きを感じて
何気なく手を伸ばしたのだ。

熱のせいか、体が熱く意識もはっきりしていなかったけれど、ーー確か、




("どーぞ"って、)



聞こえた気がしたのだ、そんな声が。
私の手は、その時確実にコップを捉えていたし
実際、喉は潤った。




ーーー次に目覚めた時には、ベッド脇にある
机に空のコップが置いてあったのも、
証拠だろう。






どっこいしょ、と我ながら年寄り臭い掛け声とともに、保管庫の床に資料を下ろした。

埃と古い紙の匂いが舞い上がる。



やはり病み上がりには重労働すぎたか。








「ーーーおう、早ェ時間からガサガサ騒がしいと思ったらお前さんか。体調はもういいのか」


「副団長、おはようございます」




あくびをかみころす彼も、恐らく、今起床した
ばかりだろう。




「おかげさまで復活しました」

「そいつァよかったな。団長も、遅くに看病してた甲斐があったってモンだ」


「・・・はい？」




看病？団長が？私を？
ーーー耳を疑う事実が立て続けにあらわれ、
私は目を丸めた。




「あ？気づかなかったのか？団長の奴、
仕事終わりに部屋に寄っただろ？」


「・・・さぁ、寝てましたもので」



「へぇ、珍しいねぇ？お前さんなら、団長が
部屋に入ってきた途端に起きちまいそうだ」

「人を神経質みたいに言わないでください」

「実際神経質だろーが」




まあ、それは否定できないとして。ーーいまは
そんなことより、と眉をひそめる。





「・・・その、団長が仕事を終えたのは
何時頃でした？」


「さぁな。2時頃じゃねーのか？・・珍しく
自分の仕事こなしてたからなぁ」



明日は隕石でも降るかねェ、と副団長。
そんなことになったら、私たちも宇宙のチリと
化すことになるだろう。





(・・・私が一度目を覚ましたのも確か、)



前述したとおり、私はあの時、意識がはっきり
していなかった。が、いつもの起床時のくせで
時計を一瞥したはずで、その時みえた短針は、
ちょうど2時半ごろをさしていたような。

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