【銀魂】衝突必須の求愛物語

何の予兆か ページ19

星がきらめく宇宙。この戦艦だってかなり大きいのに、それを容易に飲み込んでしまうそこは一体どこまで続いているんだろうか。

風もないし、空気もない。
時々不思議になる。








「ーーーあわよくばキスしようかな、なんて思ってたんだよネ」

「ふざけるのもいい加減にしてくださいよ」




こんな壮大な宇宙で、そういう言葉を落とすなんて、無粋にもほどがあるんじゃないか。

窓枠に腰掛け、「本気だヨ」と言い切った奴の
声色は、確かに冗談には聞こえなかった。



ーーーが、なら尚更、冗談じゃない。






「私に不利益しかありません」

「病みつきになるかもヨ？」
「断じてあり得ません」




もう、ここにいてもしょうがない。
イライラが募るだけだろう。

寝る前のに一時、落ち着くためにここに
きているのに、こいつがいたんじゃその目的も
叶わない。ーーよし帰ろう、と踵を返した。









.









(・・あれ、)



違和感に気付いたのは、あの部屋をでて
少し歩いた時のことだった。

私の自室は着々と近づいている。ーーそう。
順調に、進めているのだ。



何気なく後ろを振り返ってみたが、
長く無機質な廊下が続いているだけだった。






「・・あのクソ兎にしては、珍しい」




いつもならば、こういう場合、しつこく追いかけてくるはずのそいつが、今日はあの部屋を
出てからすぐ、消えたのだ。

"キスしたい"なんてふざけたことをぬかしておいて、すんなり諦めたのだろうか。






「・・・・・気持ち悪ッ、」



何の予兆だろう。嵐の前の静けさというやつか

喜ぶべき状況のはずが、こうも不安をかきたてられるなんて。普段の行いの悪さが伺える。




ーーとにかく、これ以上何かあっては困ると
私は足早に自室を目指すことにした。

不利益→←嫌いです

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