検索窓
今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:99,751 hit

目を閉じた ページ25

ーーー新八の淹れたお茶が、すっかり冷めきってしまった頃、回想が終わる。

万事屋の窓の外に見える桜は、毎年毎年、
飽きもせず花を咲かせ、・・そして、次は青葉を茂らせるために、短命を終えて散っていく。


あまりに短いそれは、俺があの女の詠声を
探し出す前に、終わっちまう。





"短い命だからこそ、慈しみ、目に焼きつきたいと思う"、か。







(・・わかんねーな、やっぱり)







ーーー戦争が落ち着いた後、・・綺麗な月夜にもう一度、あの場所へ足を運んでみたが

そこに広がるのは、閑散とした荒野だった。


桜の大木も、舞い散る花びらも、・・もちろん
女の綺麗な詠声も、

まるですべてが夢であったかのように、
そこから消えていた。







「ーーーあれから、何年経ったんだ」



桜の舞う季節が来るたびに、あの時のことを
思い出す。何年もその面影を追っている俺は、
なかなか未練がましい。




(・・それでも、)






"今年こそは会える"

毎年毎年、そう思ってしまう。






「ーーー銀さん!今日の夕食当番は
あんたでしょ!そろそろ動いてくださいよ!」


「・・今日は、無理」

「昨日もそう言って僕にやらせましたよね。
今日は代わりませんよ!」



「んじゃ今日も無理」
「いや助詞の問題じゃねーよ!」






喚く新八の声を受け流す。
ーー俺が聞きてェのは、こんな声じゃねェ。







(・・・いつになったら会えるのやら)






何年も前の出来事であるのに、はっきりと
耳に再生できる美しい声。


運命なんつーもんに、未来を預けたくねェとは
いったものの、・・ここまでくりゃ、不確かなモンでも何でも頼りたくなってくる。



ため息ひとつ。ーーー襲ってきた眠気のままに
俺は目を閉じた。

桜が似合う→←最後のひとひら



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (163 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
180人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 攘夷時代   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます!もったいないお言葉です!最後まで目を通してくださり、ありがとうございました! (2017年3月27日 18時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - とても綺麗なお話ですごく好きです!タイトルも素敵で全体的に私的ドストライクでした!これからも頑張ってください! (2017年3月26日 21時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!しっとりした恋が書きたくて衝動的に作った作品でした!最後まで読んでくださりありがとうございました! (2017年3月2日 0時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 完結おめでとうございます!儚い恋もいずれは、叶うんですね!こんな恋もいいなと思いました。次回作、頑張って下さい! (2017年3月1日 19時) (レス) id: 1847792d84 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ミイナさん» いつも応援ありがとうございます!辰馬オチ、絶対いつかは書きたい作品です。完成度はわかりませんが、ネタを探してみます!気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2017年3月1日 11時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:シュシュ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年2月22日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。