優しい風に心をあずけて (ページ6)

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ky side

「ありがとうございました」

少しして、落ち着いたのか彼女はそう言った

その時、やっと彼女の顔をしっかりと見た
少し涙目で、うるんだ目がとても綺麗だ

　

ky「いえ、こちらこそ」

本来、お礼を言うのは彼女ではない
彼女はむしろ、お礼を言われる側だ

それなのに、誰かのために、ありがとうございましたと言える彼女は、とても素敵な人だと思う

「助かりました。私一人では、何もできませんでしたから。」

ky「そんなことないですよ。あの人を助けようとしたのはあなただけだったし。俺なんか、全然。」

何かを言いたい

彼女を元気づけられるようなことを
彼女を少しでも笑顔にできるようなことを

ky「それに、あの人は嬉しかったと思います。意識ははっきりしてなかったかもしれないけど、でも、やっぱり嬉しかったと思います。」

何言ってんだ、俺
言いたいことが、言いたいように伝わらない

馬鹿なやつだと思われただろうか

「優しいんですね」

やっと笑った。
ふわっと笑う顔が俺に向けられた

あ、やべぇ
俺は、この子をきっと好きになる

いや、もうなっている