故に私は君が嫌いだ！【文豪ストレイドッグス】

違和感、故に確信 ページ11

_____そもそも変なんだよ。敦君。



経営が傾いたからって養護施設が児童を追放するかい？大昔の農村じゃないんだ。


いやそもそも経営が傾いたなら一人二人追放したらところでどうにもならない。


半分くらい減らして他所の施設に移すのが筋だ。



太宰殿の臆測というか推理というか。なんにせよ正論だ。


太宰殿が口を開くたび、敦くんの額に冷や汗が浮かぶ。




「太宰さん、何を、云って…」





「君が街に来たのが2週間前、

虎が街に現れたのも2週間前。



君が鶴見川にいたのが4日前、

同じ場所で虎が目撃されたのも4日前。」




嗚呼そうだ。何かおかしいと思っていた。


少々の違和感は何かをきっかけに確信へと変わってゆく。



確か_________

『異能力、その力で成功するものも居れば、力を制御できずその身を滅ぼすものもいる』



「そう。大方施設の人は虎の正体を知っていたが君には教えなかったのだろう。



君だけが判っていなかったのだよ。




君も“異能の者”だ。



現身に飢獣を降ろす月下の能力者_____」



太宰殿が云い終わらぬうちに、顔を見やると、敦くんが居た筈の場所には、黄色い瞳が二つ。



白銀に全身を包み獰猛な爪を惜しげもなく晒す猛獣、所謂人喰虎が居た。

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