・ ページ30
行きしに通った2回目のこの道。
一回目の時にあの簪可愛い、と思った店もあったなぁ、と思いつつ高そうだったからやめて通り過ぎる。
尾「…A先輩、あの店もういいんですか?」
「え?」
尾「だって行きし凄く見てたじゃないですか。」
見たかったんじゃないんですか?と聞いてくる勘右衛門。
「寄っていいの?」
尾「全然構いませんよ。
あんなに欲しそうな先輩初めて見ました。」
「よし、じゃあ行こ!」
勘右衛門の手を引いて少し走ると「気分上がりすぎです!」と言われた。
「わぁ…可愛い……。」
第一印象は「高そう」なこの店。
入ってみると意外にも普通に買えるお値段で。
ここ最近買ってないし買おうか。
「ねぇ勘右衛門、控えめな簪と鮮やかな簪どっちが似合う?」
尾「A先輩可愛いんでどっちも似合いますよ。」
なんて調子のいいことばっか言う口上手め。
その言葉、真に受けちゃうから決められない。
長い間渋った挙句、鮮やかな方を選ぶ苦渋の決断した。
尾「もう1個買わなくてよかったんですか?」
「いいの。簪、沢山持ってるし。
余ったお金は委員会の皆のお菓子とかに使お。」
そうですか、とどこか納得の言ってない声で返事をする勘右衛門。
「これください。」
「はいよ!」
店員さんにお目当ての簪を渡す。
「お2人さん、夫婦?いいね〜。」
ニヤニヤしながら大きな勘違いをする店員さん。
確かに私達の年齢的にそう思われても違和感ない。
少し不安そうな顔で見てくる勘右衛門。
いつもは結婚だのなんだの言ってるのにこういう状況になったらなんでそんな顔するのさ。
85人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽぽぽ | 作成日時:2023年7月17日 20時