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いつも通り今日も負けじと色仕掛けをしにいく。
｢あ、喜八郎。｣
探してたけど目の前にあった穴の中にいた。
灯台もと暗しって言うのはこういうことだね。
｢喜八郎〜。｣
綾｢…。｣
おかしい。いつもは名前を呼ぶと｢何ですか？｣とか言ってくれるのに今日は言ってくれない。
｢どうしたの。元気ないの？｣
綾｢なんでもないです。｣
あ、思い出した。喜八郎、滝夜叉丸と喧嘩したんだ。
探してる時に誰かが話してるの聞こえてきてたわ。
元々滝夜叉丸の機嫌が悪くていつもじゃ怒らないような発言で怒ってそのまま喧嘩しちゃったらしい。
｢滝夜叉丸と喧嘩しちゃったんでしょ。｣
綾｢別にどうってことないです。｣
気にしてないフリしてるけど本人の中では結構きてるはず。
｢ねぇ、何年か前も同じように喧嘩してたでしょ。あの時みたいに仲直りしに行こうよ。｣
数年前も同じように喧嘩してたはず。
あの時もこんなふうに落ち込んでたなぁ…。
綾｢嫌ですよ。｣
｢逆に考えてみなよ。卒業までずっと喧嘩してるのキツくない？｣
綾｢そうですけど…。｣
｢滝夜叉丸もそこまで気にしてないかもだよ。案外ね。｣
綾｢僕には分かりません。｣
｢うーん…まあとりあえず穴から出ようよ。こういう時日光に浴びてたらいいよみたいなのあるじゃん。｣
綾｢いや初めて聞きましたよ。｣
そんなこと言いながら一緒に出てきてくれるんだね。優しい。
｢あでもこんなに日光強かった日焼けする。｣
衝撃の事実に気づいてしまったら何言ってるんですかって笑われた。
｢喜八郎が笑顔になって私嬉しいよ。｣
綾｢なんですか急に。これも色仕掛けですか？｣
｢そんなわけないじゃん。本心だよ本心。｣
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作者名：ぽぽぽ | 作成日時：2023年7月17日 20時
