そういう関係 3-江口拓也-

フラグ回収 ページ47

江「ねぇ、まだ終わんないの？」




後ろから声をかけてくる拓也

作業をしてる私にとって、少しだけ邪魔だと思ってしまう


というもの、今作ってる曲は締切がある他の人への提供曲なのだ
締切はもう目の前に迫っていて、私は少し焦っていた


そんな中まだ？と言われると、人間誰しも少しだけ苛立つだろう




「先に寝ててって言ったじゃん」

江「俺が先に寝たらお前寝ないじゃん
なんでそんなに慌ててんの？」

「明日朗読劇でしょ、寝なって
気にしないでいいから」

江「そういうって事は寝るつもりないじゃん
分かってる？夜あそび出るの」




心配してくれてるのは分かってる
それでも、苛立って仕方ないのだ

もう0時を回っていて、彼の朗読劇も、私が代理で出る声優と夜あそびも今日なのは分かってる

それでも寝ないと決めつけられてるのがイライラの種になる




「分かってるって、仕事だもん忘れてないし
でもさ、これも仕事なわけ
音楽は妥協はしたくないの」

江「……何その言い方、声優の仕事は妥協してもいいっつってんの？」

「は？そんなこと言ってなくない？意味わかんない」

江「そういう風に捉えられるんだけど」

「アンタが勝手にそう捉えただけでしょ？
私がいつ声優の仕事手抜いたっての？」

江「音楽はって言ったじゃん
声優の仕事を蔑ろにしてでも、音楽は手ぇ抜きたくないってそういう風に言ってるとしか思えない」




言い合いはヒートアップして、パソコンに向いていた身体を拓也の方へ向けた

彼も彼で苛立ちを隠せない顔をしていて、あぁこれはラジオで完全にフラグを立てたな。と思ってしまった


少しばかり意識を飛ばしていて数秒の間に、彼は話していたみたいで、それでも私はその話を脳内処理出来なかった




江「なんで返事ないの？
意味わかんねぇわ」

「考えるのも許さないって言うの？
私が気になって寝れないって言うならいいよ、友達のところ泊まってくるわ」




キリがない

そう判断して、スマホだけ持ち拓也を押しのけて部屋を出た

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