登坂広臣 ★ 短編集２ (ページ30)

今日:13 hit、昨日:8 hit、合計:1,000,250 hit

▽ ページ30

「…じゃあな。」

いつものように

Aの家でバイバイする。

「…あ、待って。」

「ん？どうした？」

でも今日は違った。

俺の腕を掴み俯くA。

「…もうちょっと一緒にいたい。」

「えっ？」

「あ、えっと…」

「……久しぶりに俺の家、来るか？」

パッと顔を上げたAの

返事を聞かず３軒隣の俺の家へと

連れ込んだ。

部屋に入って

特に何かするわけでも

話すわけでもなく

時間だけが過ぎていく。

「…そろそろ卒業だな。」

「えっ、うん…そうだね。」

続かない会話。

でも気まずい感じはしない。

もうなかなか

会えなくなるんだよな…

家は近所だけど

進路も別々になるんだもんな。

「私ね、今日好きな人に抱きしめられたの。」

「…はっ？」

Aの好きな人って

もしかして…

隆二じゃない別の奴？

誰だよ…

「臣くんは好きじゃない子抱きしめられる？」

「……俺は出来ない。」

A以外無理だよ。

「…それって期待していい？」

「え？」

「…臣くんが好きです。」

…今なんて？

Aが俺を好き？

突然過ぎる告白に

喜びを忘れAの頬っぺを摘む。

「…ん、いひゃい…」

ってことは現実か。

いや、俺の幻聴ってことも。

「……臣くん？」

「今さ、好きって言った？俺の聞き間違い？」

「…言ったよ。」

真っ赤な顔をしたAを見て

勘違いじゃないんだと気づく。

「…俺もAが好き。超好き。」

今まで隠していた気持ちを

やっと伝えられた。