登坂広臣 ★ 短編集２ (ページ29)

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▽ : // …してみる？俺と。ページ29

「ねぇ、隆二くんは？」

「…知らねぇ。」

口を開けばすぐ隆二。

Aは隆二のことが多分好きだ。

けど、そんな隆二には彼女がいて

今もきっと彼女といるはず。

「…臣くん帰らないの？」

「ん？」

「下校時間だよ？」

お前のこと待ってた、

なんて言えないよな。

つくづく自分が情けない。

「…それでね、莉子が今日、」

薄暗い帰り道を

Aの親友の話を聞くのが

日課になっている。

並んで歩いてると見覚えある

人影が可愛い女の子と前から来た。

「…えっ、臣くん？」

Aに気づかれる前に

手を引っ張り電柱に隠れ

隆二カップルを見えないよう

俺の胸に顔を埋めさせた。

「…苦しいよ？」

「ごめん、もうちょっと待って。」

いずれ隆二に彼女がいるのは

バレるけど今バレても

掛ける言葉が見つからない。

横を通り過ぎる時

耳も塞いだ。

仲睦まじく歩く２人。

俺もAとそういう関係になる日が

来るのかな…

「…よし、帰るか。」

「……？」

ちょっと顔を赤くし

首を傾げるAがまた可愛い。

さっきはあんなに喋ってたAが

大人しく歩く。

なんか変な感じ…