おっさん女子、迫られる。【JK】 (ページ1)

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休日はだらだらゴロゴロしてたい、寝たい。

おしゃれはしないし甘いモノも苦手だし
マカロンよりつまみの豆が好き。

SNSはやらない知らない、訳わからん。
部屋は散らかり放題だし料理は得意じゃない。

力持ちだし体育会系だし。
今どきの若い子に、ついていけません。

　

　

　
　

　
｢…あ、スルメ焼けた。｣

JM｢ちょっとヌナ。いい加減リビングでそれ炙るのやめてってば！｣

｢うるさいよ。スルメはこうやると更に旨みが｣

JM｢どうでもいいよそんなの。
うわ、今から出かけるのにジャケットに匂いついたじゃん……くっさ！｣

　

韓国の冬は寒いし我が家の暖炉の火で炙るイカは旨い。

あ、友達からもらった日本酒あったんだよな、なんて一升瓶を片手にあぐらをかけば只でさえ目が細いのに、弟のジミナは更にじとっとそれを細めた。

わかってないなぁ、と熱弁しようとする私の話を最後まで聞かずに某消臭スプレーをかけて。
よそ行きのその格好を見て今日は……デートですか。
　

　

　

JM｢今日帰らないから。｣

｢うん、わかった。デートでしょ？
あれ、アイちゃんだっけマイちゃんだっけ。｣

JM｢全然ちがうし、かすってもねーしユキちゃんだし。
てか昼から日本酒とかまじで終わってる……干物女かよ。
いや、それよりかおっさん……オヤジだな。｣

｢……早く行けよミキちゃんが待ってるんでしょ。
ジミナのばーか！禿げろ！｣

　

　
実家暮らしに甘えるアラサー。
未だに十数年前の学生ジャージを愛用し、素っぴん眼鏡に纏めただけの雑なお団子髪は休日の私の生活スタイルで。

幸せだ、と頂きものの日本酒をでかいグラスに手酌するのはこのスルメがいい肴だからだ。

口の悪い弟の言葉にばーか、禿げろ、と返す私はあいつと変わらないぐらい口が悪いけど長年のこのスタイルは変えれない。
……たとえ、干物女でも中身がオヤジでも。

　
　
ジミナと似ている部分は……外面ぐらい？
いや、あいつ程私はひねくれてないし八方美人じゃないし。
むしろ素直な方だし……と職場へと向かうエレベーターの前で考える。

束の間の休日はあっという間すぎてカレンダーはまた黒い曜日へと変わり、どうでもいい弟の事より思考を今日の仕事内容へとシフトチェンジして。

　

　

｢すみません、乗ります。｣

　

乗り込んだ箱が閉まる瞬間、綺麗な手が引き止めた。

　