復讐の夜伽 JN

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俺の吐き捨てた言葉にみるみるうちにホソクの顔が青ざめていく。
さーっと血の気が引いていく様を見つめながら俺は更に追い討ちをかけた。









　
　
　
｢……一族の命……それを捨てる覚悟が貴方にはありますか？
一時の恋愛感情のために国を敵に回すなど……考えるまでもありませんね？｣



HS｢…………す、すみません……どうか家族だけは、｣



｢……大丈夫ですよ。幸い私しか見ていません。
貴方は真面目で優秀……ここで引き返せば私は他言しない。
ただ……｣









　


　
　
しん、と静まり返る屋敷で俺はにこやかに微笑んで。
月は何を思い私たちを照らしているんだろうな……









　
　
｢……二度とそのような間違いを起こさぬよう肝に命じて下さい。
貴方はこの国の家臣。その命は国のためだけに捧げるのです。｣









　









　



　
　


　


　
頭を下げ踵を返したホソクの背中を見つめる。



真面目で勤勉で優秀な男……俺とは違う優しさや柔らかな物腰はきっと大概の女性を幸せにするんだろう。



でもそれを彼女……A様に向けるのは間違ってる。
あれは復讐に取り付かれた女。お前には荷が重すぎる上に俺しか受け止められない、なんてのは建前で。
……本当は俺こそがそういった感情を引っ提げているんだ。









　

　
　
屋敷の外れの部屋の扉をそっと開けば僅かな灯りだけがぼんやりと照らし、寝具で既に眠りについている彼女がいた。




寝着はそれ用を身に付け、はしたなくも緩く着付けいかにもな様。部屋には香が焚かれていて妙な演出をしていて、誘惑するための姿でまるで待っていたように眠るA様を俺はじっと見つめる。
　



……気に食わない。
何度現実を見せつけ何度も力の差やお前には何も出来ない、と知らしめたのに彼女は何度も牙を向ける。



俺を常に睨み付け敵だと謂わんばかりに歯向かう様は人間らしくて嫌いじゃないのに、自分の容姿を利用して誘惑するのは許しがたくて安売りするような媚びは大嫌い。









　

　
｢…………ん、…｣









　

　
そっと指先を彼女の頬に当て、滑らせれば小さく漏れる鈴のような声。伏せた長い睫毛が僅かに揺れて赤い唇が小さく開く。



貴女は俺から離れられないと言ったはず……それが分からぬのなら何度だって刻みつけるまで。
憎いという感情全て……貴女の全ては俺のモノ。









そっと瞳を閉じて俺は彼女に口づけた。









　

　

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