17 ページ17
いつまでも思い出ばかりに浸ってはいけないのに、似たような日常を繰り返していると気付けばまた私ってば……はぁ。
あーもう、いい加減にしなきゃ。
きっと彼は今日も煌びやかな世界で忙しく過ごしてるだろうし、私は私でこの場所で毎日充実してる。
ちょっとの後悔と胸の靄は相変わらず私を思い出と過去ばかりに浸らせてしまうけど、今は今だし楽しまなきゃ。
……テヒョン、元気かなぁ…
ポチとやってきた私の畑で今日も農作業。
夢中になって働いて時折たらりと垂れてくる汗を首にかけてるタオルで押し当てれば、もうそろそろお昼なんだと気づく。
｢ポチー！帰るよー……ってあれ、いない…｣
……おかしいな。
いつもなら私に時間を教えるようにやってくる子なのに。
そろそろ帰ろう、と毎回催促するみたいに駆け寄るポチ。
作業の手を止め呼んでみても周りを見渡してもその姿はここにはいなかった。
おおらかでお利口さんだし脱走なんてしないから手綱をつけていなかったけどどこかな、と歩けば道の先に見慣れない大きな車が目に入る。
車は詳しくないからよくわからないけど、何だか高級そうでこんな田舎には似合わないぐらいの存在感で。
たまに道に迷ってやってくる人もいるから今回もそうなのかな、とその車めがけて足を進めた。
きっとポチもそこにいるんだろう……って、あ。やっぱり。
｢……こらぁ！ポチってば急にいなくなんないでよー！
ってあれ……人、？｣
路肩に停めた車の陰に見えた愛犬のしっぽ。
それはぶんぶんと飛んでいきそうなぐらい振っていて、私は声をかけるもののやがて姿が見えると慌てて駆け寄った。
人が倒れてる……寝てる？
もしかしてうちの子なんかやらかしたかな、と焦ったんだ。
｢……あははっ！くすぐったいって…………よしよし、うりゃ！｣
ひゅう、と風が吹いて。
被っていた麦わら帽子が飛んで行きそうで直ぐ様手を添えたものの、私は大きく目を見開いた。
私の愛犬とじゃれている男性。
屈託のない弾ける笑顔はいくら月日が経っていようとも、あの日の面影を残していてその人物が誰なのかなんて……すぐに分かっちゃった。
走っていた足が緩み、立ち止まりそうになる。
……テヒョン、だ。
一瞬泣きそうになってしまった、けど。
私はぐっとそれを制して前を向いたんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2133人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ワカ(プロフ) - こんばんは。いつも楽しみに拝読させて頂いてます！そんなのズルイからの大ファンです！ ミイさんのキュンとする言葉使いから、エロい感じも擽ぐられるのがたまりません！！ 続き楽しみです^ ^ テさんに収穫されたいワカでした笑笑 (2021年9月4日 20時) (
レス) id: a0ff0eec18 (このIDを非表示/違反報告)
そる(プロフ) - 更新ありがとうございます！もうそろそろ収穫だなあとドキドキしてます！ (2021年9月4日 19時) (レス) id: 6b5361ae0e (このIDを非表示/違反報告)
BBBan(プロフ) - 更新楽しみに待っていました！本日も胸キュンでした！2人でいちご食べられるといいなぁ (2021年8月31日 21時) (レス) id: 20802e9167 (このIDを非表示/違反報告)
yuka(プロフ) - 更新嬉しいです！！続きも楽しみに待ってますいます(*^^*) (2021年8月31日 0時) (レス) id: 9612071eda (このIDを非表示/違反報告)
ミミ(プロフ) - ポチくん、ナイスアシスト！と思いました。続き楽しみにしていますね。 (2021年7月12日 17時) (レス) id: 877c5b508b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミイミイ
| 作成日時：2021年6月29日 21時
