11 ページ11
華奢な手が少し伸びた俺の髪を無遠慮にかき回す。
大真面目な俺をバカにされたような気がして、それでもしんみりした空気は今日はもうお腹いっぱいだから。
ケタケタと可笑しそうに笑うキミの頬に手を伸ばしむにゅ、と掴んでみれば。
やっと昔の俺らのように……笑顔だった二人になれた。
｢ちょ、なにする……いひゃい！｣
｢……調子に乗りすぎ。おー……よく伸びる。｣
ふにふにで柔らかい頬っぺたは昔っから変わらなくて懐かしくて……なんか胸がざわつく。
やめて、と俺の腕を掴むこの流れもあの頃みたいで……やめてやらないのが、俺だった。
｢ふはっ！……ぶさいく。｣
｢………！うるさ、｣
お決まりの｢ぶさいく｣にはいつも｢可愛い｣の言葉が隠れていて。
10年経ってもそういうのは素直になれないもんなんだな、なんてぼんやり思った。
いい加減にして、とぷんすかしたAが俺に背を向けて。
ぶつぶつ文句を言う彼女の背中を見つめて俺は考えた。
｢……ねぇ。さっきの質問の答えだけど。｣
｢……え、？｣
｢今日はこれからどうするって俺に聞いてたじゃん。｣
｢……あ、……うん。｣
再び振り向かせた俺にまだ何かあんのか、とでもいうようなキミの不満そうな顔に笑える。
さっきの質問の答え……決めたよ。
｢……今日は俺、ここに泊まる。｣
｢……は、？｣
｢久しぶりに来たんだもん、運転疲れたし宿とってないし。｣
｢……えぇー…｣
目を丸くするAを無視して俺はまた厚かましくごろん、と寝転んで。
彼女の反応に知らんぷりしたままポチと戯れる。
俺のわがままと自由奔放さにキミは弱いのを……俺が利用しない訳がない。
｢……昨日も忙しすぎてあんま寝てないんだよねー
じーちゃんばーちゃんからまだ離れたくないしー｣
｢……はぁ……仕方ないなぁ……
じゃあ今のうちに新しい布団出しとかなきゃ、｣
……ふふっ。ほら、ね。
お人好しでまっさらなキミはやっぱりそのままで。
クローゼットを開けてさっそく準備をし始める背中にあともうひと声。
｢……ちなみに１週間。｣
｢……………ん？｣
｢俺、１週間ここにいるから。……よろしく。｣
長期の休みだし……やっと謝れたし。
俺、まだ帰りたくない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2133人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ワカ(プロフ) - こんばんは。いつも楽しみに拝読させて頂いてます！そんなのズルイからの大ファンです！ ミイさんのキュンとする言葉使いから、エロい感じも擽ぐられるのがたまりません！！ 続き楽しみです^ ^ テさんに収穫されたいワカでした笑笑 (2021年9月4日 20時) (
レス) id: a0ff0eec18 (このIDを非表示/違反報告)
そる(プロフ) - 更新ありがとうございます！もうそろそろ収穫だなあとドキドキしてます！ (2021年9月4日 19時) (レス) id: 6b5361ae0e (このIDを非表示/違反報告)
BBBan(プロフ) - 更新楽しみに待っていました！本日も胸キュンでした！2人でいちご食べられるといいなぁ (2021年8月31日 21時) (レス) id: 20802e9167 (このIDを非表示/違反報告)
yuka(プロフ) - 更新嬉しいです！！続きも楽しみに待ってますいます(*^^*) (2021年8月31日 0時) (レス) id: 9612071eda (このIDを非表示/違反報告)
ミミ(プロフ) - ポチくん、ナイスアシスト！と思いました。続き楽しみにしていますね。 (2021年7月12日 17時) (レス) id: 877c5b508b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミイミイ
| 作成日時：2021年6月29日 21時
