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穏やかなのに心なしか低い声が静かに響き、私の肩を揺らす。
今日の報告書を催促するように、私語が過ぎる二人に上司らしく注意したソクジン先輩。
指摘された当のテヒョン君は顔色を変えずにさも当たり前のようにこの場で書類を差し出し、私はまだ手をつけてないそれに焦り、どこか威圧的な微笑みに心拍数が上がり。
それに加えてテーブルの下で私の手をそっと握る大きな手に爆発しそうで。
テヒョン君の書類に目を通す先輩とそのタイミングで握られた手。なに考えてるの、と大きく目を見開いた私を見つめるテヒョン君はニヤリと口角を上げた。
ばしぃんっ!と今すぐその手を払いたいのに、できない状況を誰か分かってほしい。
それが出来ずにやんわりとほどけば長い指先は性格を変えてイタズラに絡み、やがてきゅっと繋がれる。
JN「……今日は2社も商談成立したんだすごいね。
この調子でまた頑張って。」
TH「……はい。ありがとうございます。」
JN「……それとA主任。キミもこのままじゃ後輩に越されてしまうかもしれないから私語もほどほどにね?
報告書が出来たら俺の席にちゃんと持って来るんだよ。」
「……すみません。」
名指しでまともに注意されればびくっとまたカラダが強張って向けられたその笑顔にも……びびる。
甘さのない笑みが私の背筋を伸ばし、ごもっとも過ぎる全部に返す言葉が見つからない。
目の前のソクジン先輩はちゃんと仕事とプライベートを分ける大人で昼下がりは二人、想いをぶつけ合っても。社内恋愛するならば尚更今以上に仕事だって頑張らなきゃ。
……ここは会社。先輩と私は今日から恋人とはいえそれはそれだしこれはこれ。
いつもの自分に戻らなきゃ、なんて切り替えればすぅーっと力んでいたカラダが楽になる。
コツ、と先輩の革靴が踵を返して私とテヒョン君の席から遠ざかっていけば、私は未だに絡む彼の指先を今度こそ払って。
TH「……俺のいない間になんかあったんでしょ?」
「……はい。」
TH「……そう。それってやっぱジニヒョン?」
テヒョン君が分からなくて言動行動も読めなくて。
最近の私は翻弄されては胸がざわつき、戸惑っては涙して上手く自分を演じることが出来ずぎゅっと唇を噛み締めていた。
でも心に決めた、自分の気持ちに正直になった今。
……もう、自分に逃げない。
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ミイミイ(プロフ) - マリさん» 作者の初作品から読んで頂けるなんて本当に嬉しいですありがとうございます(*^^*)私の書くピョンテを受け入れてくれて感謝です本当に救われます!これからも読んでくれたら嬉しいです頑張りますね!(*^^*) (2020年10月16日 14時) (レス) id: 07d9352f4c (このIDを非表示/違反報告)
マリ(プロフ) - はじめまして(^-^)そんなのズルイからすごい勢いで読んでます(笑)ミイミイさんの書くピョンテ 大好きです!もっと欲しいくらい(//∇//)それぞれと濃厚に絡んでいただきたいです!これからも楽しみにしてます(//∇//) (2020年1月22日 0時) (レス) id: c114e78b15 (このIDを非表示/違反報告)
ミイミイ(プロフ) - かんなさん» 楽しみにして下さって本当にありがとうございます!そして更新、返信も遅くて本当にごめんなさい(>_<)大好きなお話と言って貰えて嬉しいですし亀更新ではありますが納得のいく作品にしたいです!嬉しいお言葉本当にありがとうございます!頑張ります大好きです(*^^*) (2019年12月16日 16時) (レス) id: 07d9352f4c (このIDを非表示/違反報告)
かんな(プロフ) - こんばんは(^○^)更新お疲れ様です!今回も大好きなお話です!3人全然違うタイプでドキドキしっぱなしです(*^^*)これからも更新楽しみにしてます!頑張ってください(o^^o) (2019年12月8日 21時) (レス) id: 048af761aa (このIDを非表示/違反報告)
ミイミイ(プロフ) - Pちゃん()さん» ありがとうございます!大変遅くなり申し訳ありません( 。゚Д゚。)これからちょくちょく更新がんばります!本当にいつもありがとうございます大好きです(*^^*) (2019年12月8日 19時) (レス) id: 07d9352f4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱーふん | 作成日時:2019年11月15日 19時