こじらせ女子のオトナ社内恋愛2

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長らく同じ会社に身を置けばそれなりに肩書きがついて、立場も上がればいつからか余裕ぶって大人を演じることが多くなっていた。



それは営業なら尚更で、思ってることとは真逆な事を言ったり笑顔を貼りつけたり嘘をついたり。きっと皆が通る道でそれに慣れてしまえば俺はいつだって余裕ぶって先輩風を吹かせて来たんだと思う。



……でもさ。本当の俺って女性は苦手だし敬遠してきたし。
根は真面目だし会社での立場上、責任感から風紀や秩序を意識したり。
自分でもまじでつまんない男だしまじでつまんない人生だって理解しながら今まで生きてきたんだ。




好きな人に触れるだけでこんなに胸が鳴ってるのに。
それを無視して余裕ぶるなんて自分でも滑稽だって分かってるけど……いい歳した大人だし男って見栄っ張りだからさ。




あの日テヒョナからAを奪い、取り上げたあの行動や連れ込んだ自室での暴走。あれは自分が一番驚いたしこんな俺の一面なんて知らなくて。
キミが目を覚まし、帰ってしまった後に実はバスルームで１人赤面し、しゃがみ込んでしまってたなんて……そんなの誰にも言えないや。









　
テヒョナはやんちゃで器用だし色んな意味でずるくてそれが羨ましいと思ったり、ユンギは自分を持っていて人に媚を売らない男らしさがあって。
それに比べて生真面目な俺はエリートぶってる反面笑顔を振り撒くことや大人を演じてしまうことに疲れる時があって。
……本当に仕事以外は不器用で拗らせてしまってるんだ。





ずっと偽りの自分を演じて来たから余裕ぶってキミをからかったりするのは男としての見栄。
誰よりも歳を重ねた不器用な俺の……ちんけな見栄。









　


　
本当のキミは俺とよく似ている。


歳だけ重ねたオトナの、社会に揉まれたが故に取り繕った偽物で拗れた二人はよく似ている。









　


二人きりの会議室。いつもは沢山のオフィスの視線や騒がしい現実が日常でも、そこから離れた静寂に包まれて。




ばくばくと心臓を打ち鳴らし、触れる指先は少し震える。
あの日あの時ここで俺はキミを突き放したけれど、相変わらず不器用な俺は自分の本当の気持ちを無視したけれど。




……ここからまた始めたいんだ。









　



　
　
｢…っ先輩、離してくださ、｣



｢……やだ。｣









ぎゅっと抱きしめれば、また胸が高鳴る。





……いつの間にか俺はこんなにもキミが好きになってたんだ。









　

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