こじらせ女子のオトナ社内恋愛

48　JN ページ49

ガチャン、と自宅マンションのドアが閉まる音を耳にしてしまえば何だか今さら凄く笑えてくる。
……はは。まじで部屋に連れてきちゃった、拐ってきちゃった。





らしくない、柄にもない。
それは俺が一番分かっていて、こんなにも強引な行動なんて今までの人生で無かったはずだった。







　
　

　
｢……A。ちょっとごめんね、｣






　


　
　
寝室のベッドにゆっくり降ろし上気した頬をそっと撫でれば僅かに身を捩り、はぁっと熱い吐息を吐き出して。



熱のピークだな、なんて冷えピタを貼って小さく謝りながら彼女の衣服に手を掛けてみれば何だか妙な気持ちが沸き上がってくる。




１枚１枚ゆっくり剥いでやがて現れた綺麗で真っ白な肌。
光沢のあるシンプルなキャミソールまで汗で濡れていて迷ったもののそれもスルリと脱がせば、視界に入る目障りなそれは首筋だけじゃなく肩や胸元、それはそれは至るところに散りばめられていて。




あいつ……テヒョナ。
俺が持ち場に戻るまでの間に一体何があったんだって思考さえ無駄だと謂わんばかりの見せつけに、またらしくもなく苛立ちが沸き上がる。







事の発端はキミから送られてきたメールだった。
業務連絡のやりとりだったはずなのにいきなり突拍子なく届いたそれには俺が好き、と綴られていて酷く驚いた。





普段のキミは本当に謎に包まれていてミステリアス。
ひたすら仕事に向き合いキャリアウーマンオーラの中には年相応の女盛りの色気というか。




真面目で優秀の中にはいつだって悪い噂がついていてそれを拭えなかった、惑わされてしまった俺はどうしてもキミを信じられなかった。






ユンギにテヒョン。
あの二人はキミの何を知っていてどうしてあんなに……いとおしそうな瞳をキミに向けるの？




二人とは元々付き合いがあったし彼らは女性にも困ってないのは分かっていて。
そんなユンギとテヒョンにあんな顔をさせるキミは本当に何者？





百聞は一見に如かず、で噂は噂。
まさか、本当にキミはあのユンギとテヒョンさえ手玉にとるような悪い女なの？
……それとも。






気づけば頭はキミの事でいっぱいな俺。
…ふふ。本当にAは噂通りの女性かもね。
生真面目だった俺さえ……こんなに悪いやつにしてる。
まぁ、それが真実かどうかは今から確かめるから。









　
｢……A。熱くて苦しいよね。全部脱いじゃおうか。｣









……あぁ、本当にらしくないな。









　

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