こじらせ女子のオトナ社内恋愛

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頭からあのダルそうなイケメンの腹立つ笑みが離れない。




ふらっと現れてオフィスのドアに寄りかかるその人は見たことなくて、ざわついたこの場の反応は素直なもので。
誰だ、と思ったのはたぶん全員だった。







　


A先輩は朝から直ぐに仕事モードだし仏頂面で話しかけるなオーラ全開。生理かな？なんて冗談よりもいつもの眼鏡じゃないことに違和感を感じて、聞いてみればそこで彼女はいつもと違う反応を見せた。





似たような眼鏡だし。
きっと誰も気づかない些細な事なのにそれに気付いた俺に壊れた、というどこか取り繕ったような先輩の言葉が嘘だったと分かったのは、あのダルそうなイケメンが教えてくれたというか……見せつけたんだ。








A、と当たり前のように彼女を呼んだあの人とそれに対してカラダを強張らせて言葉を詰まらせたキミ。





極めつけは含みを持たせるようにデスクに置かれた彼女の眼鏡とシュシュ。






朝から俺に絡んでくるうざいお姉様方に適当に相槌を打つ俺の視線は先輩とあのイケメン二人に集中してしまって。









俺が知らない先輩の仕草表情といきなり現れた男のどこか不敵に笑うその全部。
苛立ったのは最初からで少ない会話でも昨日二人に何かがあったなんて明白で。





終始慌てて得意の仮面もぼろぼろだし酷く慌てる様子は本来の彼女の姿だし。
そんなキミを上から見下ろしながら口角を上げるこの男の表情は腹立つ中にも格好よさがあって尚のこと腹が立つ。









　
二人が沢山の視線を集めてしまえばバツの悪そうにため息をついた先輩はイケメンを連れ出しこのオフィスを出て行ってしまい、俺は更に苛立って。
ちらりとソクジニヒョンを見れば先輩とあのイケメンが出ていったオフィスのドアを俺以上に驚いた様子で見つめていてそれもなんか……気に食わなかった。








なんで俺はこんなに腹が立ってんだって……聞かなくも自分の中で答えは出ていて。




席を外したまま中々戻らないキミと思うように捗らない仕事。
得意の愛嬌でお姉様方に面倒なそれを丸投げしようかと立ち上がったものの、少し考えて。
あーくそ。なんて髪を乱暴に掻き上げまた席につく、という俺の行動はそれこそ意味不明で。





らしくない自分といつもは隣の席にいるキミの関係は本当にただの先輩と後輩、でしかなくてそれをぶち壊したいって思ってる俺はもう認めるしかなくて。






A先輩が好き、これしかない。






　





　

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