俺とヒミツの恋、しよ？

converse　high　8 ページ47

凹んだり落ち込んだり。
舞い上がったり調子に乗ったり生意気だったり。
今日の私は、いや…いつも私は感情が忙しないと思う。





女性たちの視線が先輩に注がれたのちにそれは向かいの席に座る私に移動して。
やがてその視線は鼻で笑うようなそれに変わりまるで先輩と一緒にいる私を似合わない、とでも言うかのよう。
……これはいつも社内でも先輩を囲む方々から感じているそれと同じで。









　
　
ほろ酔い気分でほんの少しトイレへと席を外して戻ってきた私の視界に入るのは出張先でも綺麗な女性にアピールされ、相変わらずそのモテっぷりをこんなところでも発揮して、相変わらずにこやかに楽しそうに談笑するナムジュン先輩の姿。








神様は意地悪だし、……先輩も先輩だよ。
いつだって私はただの後輩で。わりと近くで仕事してるはずでもそんなに優しい顔で話した事なんてない。





　
会えば私をバカにして。
言い返しても頭のいいあなたには私、口では絶対に勝てないし論破されてしまう。
おまけにこの見た目だし、最初から私なんかあなたの瞳には入ってない。







……はぁ。ほんと私、今日の運勢最悪なんじゃないかな。なんてため息をつきながらも好きの気持ちやあの綺麗な女性たちのようにアピールすら一度もした事ないくせに、言えないくせに勝手にぶーたれて卑屈になる私は本当に可愛くないし身勝手で。









　


　
｢……先輩っ。私……少し酔ってしまったのでもう部屋に戻ります！愚痴を聞いて頂きありがとうございました。先輩はゆっくりお食事、楽しんで下さい。｣




RM｢…………は？……ちょ、｣









　
にっこり笑ってテーブルにお金を置いて。
驚く先輩と私を見つめる綺麗な女性たちにぺこりと会釈をして。





奢る、と言った男性に向かって敢えてお金をテーブルに置いた私は社会人として最低だし大人の男性に対してその行動は顔に泥を塗るようなもの。
……でも、最低だって分かってても今の私には精一杯の反抗なんだ。






……もう惨めすぎるし自分の見た目も性格も大嫌い。
こんな私は先輩と、なんて高飛車すぎたしありえない。






バーを出て角を曲がった所でどっと涙が溢れてきて。
自分自身が心底嫌いで逃げたしたくなってパタパタと小走りで宛もなくホテル内をさ迷って。






スニーカーはやっぱり走りやすいな、なんて思考回路がおかしくなってまた涙が溢れてしまえば不意に誰かが私の手首を力強く掴んだ。









　



　

converse　high　9→←converse　high　7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す