俺とヒミツの恋、しよ？

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好きになったきっかけなんてありすぎる。



　
ありきたりかもしれないけれど、新入社員だった私を、ポンコツだった私をさりげなくスマートにフォローしてくれた事や常にトップの成績をキープしている事。




　その印象を持ちながら姿を追えば、完璧だけど完璧すぎない部分があったりそれが可愛いとすら思えて、格好いいと交ざりあって今ではすっかり彼の沼に私ははまってしまっているんだ。







入社して３年目。
敵う訳なんてないのに生意気にもあなたの背中を追いかける私。


がむしゃらに仕事に打ち込んで必死に食らいつき、
気づけばこうやって一方的だけどライバルみたいに互いに憎まれ口を叩きながらも切磋琢磨し、今日まで過ごした事はありがたく感じている……けど。




きっとあなたの瞳にはただの職場の後輩、としか私は映ってないんだろうな……






いかん！いかん！
考えすぎはだめ。さっき先輩は私の企画をお世辞でも褒めてくれた。私は努力しないと、鍛えないとあなたの瞳には映らない。





だから、苦手なこのにがぁーいコーヒーを飲んで。



気合いを入れ直してまた前を向いて常にトップを走るあなたを追いかけて、食らいつかなきゃだめなんだ。






空になった黒の缶をゴミ箱に入れて立ち上がって。
また新しい企画を練らなきゃな、なんて思いながら持ち場に戻るもちょっとだけ苦しくなった。








……先輩が私を褒める時は仕事の頑張りだけ。



本当は社内の可愛い受付の方々や総務の綺麗な方々のように女性らしく振る舞ってみたいけど、私はそれが性格的にも見た目的にも無理だし。






先輩を囲む女性社員達の前を素通りして自分のデスクに着く。



にこやかに女性社員達の話しに相づちを打ち、スマートに返事をして。
時折彼女達の可憐さや女性らしさを褒めるような会話をする彼を横目に、先輩のばか。どうせ私は仕事も見た目もポンコツの出来損ないだもん、なんて。


心の中で負け犬の遠吠えみたいに悪態づくしか出来ないんだ。






……勝手に想って、勝手にぶーたれてへそを曲げて。
素知らぬ顔してパソコンにすぐさま向き合うしか出来ないんだ。







……情けない。
こんなのただの僻みだし、私って本当に魅力なんてない。
不器用な私に出来ることは努力して仕事を認めてもらうしかないし、卑屈すぎる。



ぶにっと強めに自分の頬をつねって気合いを入れ直し、その痛みでほんの少し涙目になりながらも再びパソコンに向き直った。









　

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