1 ページ1
いつからかな。
これが、この行為が、私を生かすためのモノになったのは。
自分で選んだ道なのに、後悔なんてしたくもなかったのに、一度選んだ道は簡単には引き戻せなくて。
きっとあなたと出逢ってから、私に感情なんてモノが生まれてしまった。
……涙なんて随分と出なかったはずなのに。
我慢は慣れてる。
私が皆を、この事務所を守らなきゃ。
だから、今日も知らない誰かに汚れたこの身を捧げる。
……たった数時間の苦痛くらい、なんて事、ない。
｢……んっ……はぁっ……あっ……｣
｢……ほら、もっと応えて。
頑張ればまた呼んであげるからっ…………んっ｣
あぁ、いやだ。
もうこれで何回目なの。
社長の話と全然違うじゃない。
……早く、私を離してよ。
ここは、ソウル市内の高級ホテル。
そんな場所で真昼から男女の濡れた声が響き渡り、さっきから何度も目の前の男は私に体重を掛けては腰を振る。
私は弱小事務所に所属するアイドルなんて肩書きを持ち、こうやって業界に権力のある人とカラダを重ねては仕事を繋いでいる……簡単に言えば枕営業をしていて。
事務所の社長に渡されたメモがある度にそれに従い、相手が求めることに応えるだけ。
今日は……テレビ局の大物プロデューサー、だっけ、
｢……あぁ、ホントに綺麗だね。
もう持たない……出すよっ…………｣
……あぁ、やっと開放される。
ベトベトだったカラダを入念にシャワーを浴びて綺麗にしてホテルを出て。
マスクと深めに被った帽子を整えながら歩くソウルの街並み。
至る場所に私の所属しているグループ
Etoile(エトワール)の広告が溢れていて、それを目にする度に心が痛くなる。
私がやってるこれは、ただの保険みたいなモノ。
メンバーの皆は実力者揃いで他のアイドル達と何ら変わらない努力家ばかり。
私が、私だけが異常なんだ。
彼女達は夢を追う純粋で綺麗な子達。
きっと、私がこんなことをしているとは知らないだろうけれど、私は社長から逃げれないし彼の指示に従うだけで、彼は私の恩人だから……
ズキリと痛む胸を無視して顔を上げて、足早に人込みを掻き分けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1232人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミイミイ(プロフ) - sumomoさん» 読みやすいなんて……そういう部分を褒めて頂けるのは本当に嬉しいです！こんな作者ですがこれからも頑張りますので宜しければまた読んで下さいね！ありがとうございます(*^^*) (2020年10月16日 14時) (
レス) id: 07d9352f4c (このIDを非表示/違反報告)
ミイミイ(プロフ) - ianさん» 返信遅くなってしまい本当にごめんなさい(>_<)引き続き読んでくれるように作者なりに頑張りますね！ありがとうございます(*^^*) (2020年10月16日 14時) (レス) id: 07d9352f4c (このIDを非表示/違反報告)
sumomo(プロフ) - 読みやすくて面白いです！更新の予定ありますか？？ (2020年1月28日 10時) (レス) id: 386effc071 (このIDを非表示/違反報告)
ian(プロフ) - もっと壊れた主人公がみたいです。 (2019年8月2日 1時) (レス) id: 3ca682ce22 (このIDを非表示/違反報告)
ミイミイ(プロフ) - みーさん» めちゃくちゃ嬉しいです！好みが別れるお話ですが最後までどうかお付き合いくださいっ(*^^*) (2019年1月5日 20時) (レス) id: 07d9352f4c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱーふん
| 作成日時：2018年12月9日 18時
