そんなのズルイ。10

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何かの聞き間違えだろうか。
今、一生とかって聞こえた気がする。









　
　



｢……え、編集長……
一生って……何言ってるんですかっ！？｣




編長｢そのままだろ。
俺がお前の面倒を一生見てやるって言ってんだよ。｣




｢……仰る意味が、何をどう理解すれば、…｣




編長｢……何って…普通にプロポーズだろ。｣








　




　

　
……あまりの衝撃にさっきから開いた口が塞がらない。






さすがにプロポーズの意味は分かるけど
それを編集長に言われる意味が全く分からない。






だってどう考えても私はただの部下でそれ以上でも以下でもないはずで。








　




　
　
｢……編集長……疲れてるんですか…？
間違えてますよ、｣




編長｢バカにすんな…俺はお前に言ってんだよ。
海外で働いてみたいって言うから行かせてみれば
訳わかんねー写真は撮られるわ男作ってるわで
これでもめちゃくちゃ腹立ってんだよ。
……年甲斐なくも嫉妬した。｣







　


　


　
……言葉が出てこない。
なんで、編集長がそんな事を私に言うの……
今まで一度だってそんな素振りや感情なんて見せなかったし分かりさえしなかったのに。









　
編長｢……可愛い部下なんて線は俺の中でもうとっくに越えてる。
お前が韓国で何をしてきたかは分かんねーけどここはあくまで日本だしそっちの男もいない。
……悪いが俺は全力で口説くからな。｣





｢……はいっ！？……意味が分かりませんっ！
そんな事いきなり言われても……っ、…………ひゃっ｣









　
さすがに頭がパニックを起こして。
何をどう話を聞いていいのか頭が追い付かない。






もう韓国で、あの事務所で働けない、という通達を耳にしただけでもいっぱいいっぱいで。






大人なはずなのに感情的な声色と音量を出してしまう私は全然冷静になんてなれなくて。





そんな私を椅子から立ち上がった編集長は後ろからゴツゴツと骨ばったその手をお腹に回し、強く私を引き寄せ背中に硬い胸板があたった。









　

　
編長｢……オッサンが本気出したらお前は笑うか？｣




｢……ちょ、離して下さいっ！……っ｣




編長｢……とりあえず明日から俺に同行しろ。
復帰したばかりだし手取り足取り教えてやるからよ。｣









　
混乱しつつも必死にカラダを捩って精一杯お腹に回ったその腕を引き剥がして。






やっと離れた上司はニヤリと笑ってこの場を後にした。









　




　
　

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