そんなのズルイ。10

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タイトルは
シンプルに、ストレートに
｢俺の好きなひと｣。






　
彼女の後ろ姿や横顔、どれも風景と一緒に撮ったし距離もあってたぶんAだってわからない。






敢えてモノクロに変えたりしながら数枚選んでそれを載せて。






もちろん、匿名だし俺だって絶対にわからないだろうけど……なんか無性に俺の気持ちを誇示したくなった。








本当の男なら全て投げてでも彼女を拐いに行くのに
しっかりバレないように、なんて保険をかけるみたいにしか行動できない自分はまだこの場所にいたいんだろうな。








……矛盾だらけで全部めちゃくちゃ。







全て彼女に非があった訳じゃないし、やむを得ずだったあの撮影で騒ぎが一人歩きして、事務所では大人たちの都合で彼女を切り捨てたってしか思えない。









……なら、匿名だし別にいいでしょ。









開き直ってしまえばどこか強気になってしまって。









迷わずスマホをタップしてしまえば怖いくらい簡単にそれは流れた。









　

　
打ち合わせに、収録にＶライブ。





バタバタと駆け回る日常でスマホが光るから何気なく見れば通知が来ていて。








　





　

素敵な写真ですね

旅行ですか？

楽しそう！

すごく彼女さんが好きなんですね








　




　

　
たくさんのコメントが来ていることに正直驚いて。








ざっと目を通せば、どれも暖かいものばかりのそれは
本当に俺を知らないから新鮮だったし
ごく普通なのが酷く嬉しく思えて。









　
…素敵な写真でしょ？

俺さ、初めてデートしたんだ。

めちゃくちゃ楽しかったし幸せだった。

すごく好き。大好き。









　
　




コメント１つ１つに心の中で答えるも、
……なんだか無性に泣きたくなった。









何、してんだろ。





俺はどうしたいんだろう。





こんな事して
もしアップしたのが俺だってバレたらきっと取り返しがつかないはずなのに。





　
俺のやってる事は所謂匂わせってやつで最近は芸能人の中でも厄介で、タブーな行為。






まだここにいたい、皆と夢を追いかけたい。






その癖君にも側にいてほしいって思う俺は相当わがまま。









　


　
YG｢……ふーん。この写真、あの時のやつか？
いーじゃん、ちゃんとコメント返してやれよ。｣









　

葛藤して１人項垂れている俺のスマホを奪ったのはユンギヒョンだった。









　

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