そんなのズルイ。10

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大好きなキミが俺の腕の中で涙する。
泣き虫のキミは些細な事ですぐにその瞳に涙を溜める。







まぁ、沢山驚かせたしこうなる事は予想出来たしなんてたって今は凄く気分がいい。
とりあえず久しぶりに会えた事でしょ。







俺の望んでる事全部叶えてくれるってそんなの聞いちゃったらさ、もう止まんないよね。







本当はロマンチックにキザにバシっと真っ赤な薔薇なんか用意して？ドラマみたいにお姫様にするみたいにすれば良かったんだろうけど。






……ごめんね、ファンとかは俺にどんな理想を抱いてるか分かんないけど案外俺は普通だから。








俺、Aと散歩したい。
紅葉が綺麗だねって休日のんびり手を繋いで歩きたい。




キミの作った手料理を食べてみたい。
俺のおばあちゃんみたいに笑顔で召し上がれって言ってほしいな。





両親や家族がしてくれたようにAと一緒にこれからずっと暖かい家庭を築きたい。






俺の望んでる事は普通でありきたり。
芸能人だとかそういうのを一旦脱ぎ捨てて、普通の俺でいさせて。







敢えて連れてきたのは俺が普段暮らしている宿舎の俺の部屋。
せめて格好つけるなら車で迎えに行った事ぐらいだし座った時に感じた冷たい床だって気にならない。









ありのままの俺を涙を流して受け入れて、正直な気持ちや覚悟を隠さず伝えて。
普通の男だけど、キミを幸せにする自信は俺、あるよ。









久しぶりに触れた唇や、柔らかい肌、大好きな香り。
目一杯強く抱きしめれば途端に俺は男の感情が溢れてくる。
その理由は聞かなくたって分かるでしょ？









久しぶりすぎるし、大好きなキミ。
根本的なA不足だった上にここは勝手知ったる俺の部屋。









膝の上に乗せてぎゅっと後ろから抱きすくめた時にばちん、と俺とAの瞳が交わって。







さっきから可愛くて可愛くて今すぐ食べちゃいたいのに、じっくり、ゆっくりキミを乱したい。
……あぁ、俺って本当に性格悪いな。








意地悪を越える過剰なぐらいの辱しめに涙するキミを見ても止めてあげられない。
俺がこんな気持ちになる理由を教えてあげるから。








瞳を逸らさないで……俺だけ見つめて。









お気に入りの姿見。割りと大きな鏡は明るすぎる部屋で俺たちだけを映し出す。









A、綺麗だよ。恥ずかしがらないで。
……意外にも俺ってこんな表情でいつもキミを抱いてたんだな、









　

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