そんなのズルイ。10

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すぅーっと呼吸をすればテヒョンさんのモノで溢れてるこの部屋は大好きな香りでいっぱいで。




繋がれた手から伝わる体温だって、私の瞳を真っ直ぐ見つめる瞳だって、耳に入る低くて甘い声だって、全部全部大好きなあなた自身のそれなのに。





今日は何だかやけに大人っぽくて落ち着いていて、でも気取らない、自然体なんだけど私にとっては不自然で。






穏やかな会話をしていた流れの中に、とんでもないワードが入っていてびくりとカラダが跳ねた。






…今、テヒョンさん……なんて？






言葉が出なくて、聞き間違えたのかと思って、ただただ驚いてしまい瞬きさえ忘れてしまいそう。









　




　
TH｢……ずっと一緒にいよう。
俺、Aとおじいちゃん、おばあちゃんになってもずっと一緒にいたい。
幸せにしたいし、幸せになりたい。
だからさ、俺と結婚しよ？｣




｢……っ、え……テヒョンさ、うそ……｣




TH｢……んふ。
リアンさんからブーケ貰ったんでしょ？
韓国ではさ、それを花嫁から貰った人は早く結婚しなきゃ乗り遅れるんだって。
だからさ、早く返事しなきゃA、結婚できなくなるよ？
俺、そんなの待てないもん。｣




｢……待って、……待ってよ……ふぇっ……本、気……？｣




TH｢……冗談なわけないじゃん。
A、大好きだよ。
ずっと俺の隣にいてほしいし隣にいたい。
俺のお嫁さんになって？｣









　
　
何が、何だか頭が追い付かない。
ぶわっと瞳に溜まるそれが私の視界をぼやけさせて
大好きなあなたの顔も良く見えない。





ずっと見開いたままだった瞼が生理的に閉じてしまえばその瞬間にぼろぼろとこぼれ落ちて、私の手を握ったテヒョンさんの大きな手を濡らしていって。







……いいの、？
私……返事してもいいの？








そんなの、そんなの返事は１つしかないじゃない。
私はテヒョンさんが大好きなんだよ。
大好きなあなたにそんなこと言われたら私……









　




　
｢……っ私だって、テヒョンさんが好き……大好きっ。
ずっと、隣にいたいよっ……ずっと一緒にいたいもんっ。
……ふぇっ……｣




TH｢……うん。じゃあ返事は？｣




｢……ひっく……私で、よかったら……
こんな私でいいなら……テヒョンさんのお嫁さんになりたいっ…｣









　

　

涙が溢れてありきたりな、拙い言葉しか出てこない。







そんな私をあなたは弾ける笑顔でぎゅっと抱きしめた。









　

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