そんなのズルイ。10

462 ページ15

食事を終え、タクシーを拾って。
泣いてしまった私を可笑しそうにからかい、それでもまた明日、と編集長は声をかけてくれた。







……はぁ、なんか疲れたな……
でもちゃんと自分の気持ちを伝えれた。
明日からまた、ただの上司と部下でいられるはずだよね。








たぶん、さっきの涙には沢山の意味がある。








きっかけはきっと親友のからの結婚式の招待状。
素直に嬉しいし楽しみだなって一番に思うけど、最近はあんなに楽しかった編集部での仕事に対してどこか上の空の自分がいて。







忙しいはずなのに、カラダも疲れてるはずなのに何故か虚無感ばかりが私を襲い
それに加え突然の上司からの宣言に驚いて自分の意思を伝えるものの、私、何してるんだろうって思ってた。








編集長は、どこまで本気でどこまで冗談かわからないぐらい私に表情などを読ませてくれない年の功、なのかさすが年上の大人で。






すんなりと私の気持ちを聞いては気を使うなと言わんばかりに何も変わらない態度で普段通り上司と部下の関係を継続してくれ、解決はしたのかなって思うけれど。







招待状をきっかけに、ぐちゃぐちゃな気持ちが溢れてしまえば我慢していた沢山の感情が涙と一緒に流れてしまい、何をやってるんだろう、と心が苦しいと私に訴える。








自宅に着いてシャワーを浴びて湯船に浸かり、１人の時間になれば考えるのはテヒョンさんの事。









今、何してるかな。
ちゃんとご飯食べてるかな。
無理、してないかな。







…会いたいな。ご飯、作ってあげたいな。
お疲れ様って顔を見言いたいな、なんてわがままな気持ちばかりが溢れてしまう。







リアンからの結婚式の招待状を見て感じるのは
時の流れは案外早いということと
思ったよりも私は寂しがりで弱くて不安定。








韓国に行きたくても忙しい彼に負担はかけたくないし、仕事もないし……








あぁー、だめだめ。
考えすぎちゃだめ。






リアンの結婚式が韓国であるなら行く理由はあるしもしかしたらテヒョンさんにも会えるかもしれないし……







リアンの結婚式までの我慢だ、
それまでこの寂しさは仕事にぶつけるのが一番だし自分磨きをして少しでもテヒョンさんに釣り合う女性になりたい。








親友の結婚式に向けて気持ちを切り替えて
鏡に映った自分を見つめる。








涙はもう流れてないし、きっと大丈夫。
テヒョンさん……あなたは今どんな気持ちなの。









　
　

463　→←461

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す