はじまりは、不純。2 (ページ4)

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偶然の出逢いとバカげた理由でまさかの展開だったあの夜は……本当に夢だったのかも。

ぽやぽやとしたふわふわとした雰囲気、空気感の中で恥じらいながら緊張しながら触れあったのが嘘みたいで、はじめましてのくせにあんなことになった夜は、まるで幻みたいに思える。

教えて、知りたい。なんて意味不明な展開はやっぱり……不純だった。

そう思ってしまうぐらいやっぱり生きる世界が違うし相容れない立場だし、彼は誰もが認めるスーパースターだ。

すごいな、格好いいな、なんて言葉じゃ片付けられないぐらいの全部に、何だか胸にぽっかり穴が空いたような感覚。

それと同時に果てしなく遠くて次元が違う全てに呆気にとられて、いつまでも割りきれないまま妙な気持ちばかり引っ提げてる自分が惨めに思えた。

　

　

｢マネオンニ……もう戻ろう？｣

｢え、もういいの？
ほら、あなたの大好きなジミンさんの個人撮影が始まるわよ？｣

｢大好きって……もういいんです、公開されてないMVの撮影を見学なんてやっぱりだめですしこっちもそろそろ戻らなきゃ、｣

｢あらっ！もうこんな時間……じゃあスタジオに戻りましょうか。｣

　

正直いえば、ジミン君も他のメンバーさんも色気がすごすぎて鼻血もんだし感傷に浸ってはいたけどなんだか……悔しい。

悩んでいたのは私だけで彼はやっぱりプロだしスター。
私はちっぽけだけど……なんか今さら謎の苛立ちが沸き上がってくる。

　
メイクを直してもらい、衣装に着替える前にお手洗いへ行こうと控え室から出て。
頑張ろう、と意気込みたい私の目に映ったのは廊下の先にいるイチャつく男女の姿。
　

　

　

　

｢ジミナ待って……ほら、直してあげるからじっとして？｣

JM｢あ、ヌナありがとう。……ね、今日の俺ちゃんとできてる？｣

｢うん。今日もばっちり格好良かったよ。
……よし、オッケー。じゃあ次のシーンも頑張って。｣

JM｢……うん。
そうだヌナ、今日撮影終わったらさ…………あ。｣

　

　
たぶん休憩に入ったんだろうこのタイミングは最悪で
初めて訪れた大きなビルに慣れない私が迷いながらお手洗いを探してさ迷っていたタイミングは楽しそうな男女の声に水を差してしまって。

きっとメイクさんなんだろうけど、その距離はきっとそれだけじゃないのが何となく理解できたのに。

……ばちん、とジミン君と目が合ってしまった。

　