はじまりは、不純。2 (ページ14)

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63　JM ページ14

｢……なんか、お前みたいだな…｣

TH｢え、俺？なんで。｣

｢憑依型っていうか、スイッチがあるっていうかさ。｣

TH｢何それ……って、うは。
やっぱさすがグラビアやるだけあるね、スタイルやばー。｣

｢……見んなっ！……もう行くぞ。｣

　

　
えーまだ俺見たかったのに、なんてぶーたれるテヒョナの手を引いて彼女の撮影現場から立ち去る。

……なんかもう見てられない、つらい。
やっぱヌナはグラビアやるだけあるそれらを持っているし、それに対する覚悟だって。

俺が簡単に否定なんかしていい仕事じゃなかった。

生活がある、と言った彼女は必死でその瞳は俺らと同じ。
目的があるからこそ頑張るわけだし、俺が簡単に口を出すようなものじゃなかったんだとあの現場を見て痛感した。

恥ずかしげもなく羽織っていたそれをはらりと落とした瞬間に
また変わった彼女の表情に胸がざわつく。

ひと昔前…いや、ごく最近までヌナは泣き言ばかりだったはずなのに、そんな彼女からは想像もつかない表現にまた俺の心がもやもやする。

こんな感情を持っていても今日はあんなことを言っちゃったし、まじで本気で嫌われたかもしんないし。

……はぁ。
このまま無かったことにするのが一番いいのかな。
女々しい俺はまた逃げるという選択をしそうになるけど…待て待て、パクジミン。
このままでいい訳がないだろ……何考えてんだ！

そんな自問自答を繰り返す俺は本当のバカだった。

　

　
あれから俺らを呼びに来たスタッフに連れ戻されて
他のメンバーたちと合流して。

事務所でのミーティングを終えた俺は関係者専用の出入口付近で彼女を待っていた。

テヒョナにはニヤニヤと意味ありげにお疲れ～、なんて言われたけどそれは今は無視。

ここにいれば幸いにも二人は事務所が同じだから彼女とまた会えるかもしんない、とちゃんと謝りたい俺はここでキミを待つんだ。

どれぐらい経ったかな、と時間を確認すれば夜11時。
さすがにこの時間はもう無理か、なんて少し項垂れたタイミングでひっそりと出入口の扉が開いた。

　

｢……はぁ、今日も疲れたな…｣

　

　
小さな呟きに顔を上げればその主はAヌナで。
直ぐ様声を掛けようと少し離れた所にいた俺だったけど…なんか違和感。

だって彼女は辺りを見回し、何かから逃げるみたいに駆け出して……それが強張った表情だったから。

　
　

　
　