#20 ページ20
「え、」
浮所くんが教室から出ていって追いかけようとした。
明らかいつもと違う感じだったし……ね、
そう思い、立ち上がった瞬間、
ギュッ
雄登が私を抱きしめた。
「……雄登、離して」
那「いや、離さない。
あのさ、
俺
お前が好きだ。」
え、いま、なんて……
那「お前は俺の事幼なじみとしてしか見てないんだろうけど、」
あんなにも待ち望んでいた言葉なのに、
どうして、
どうして浮所くんの寂しそうな顔しか頭に浮かばないの……
なんで……
「……ごめん……」
気が付けば私はこう言っていた……
那「……だよな……
お前、好きな奴いるんだろ？」
「え……」
那「何年も一緒にいるからお前のことなんて全部分かるよ…
浮所、だろ？
お前の好きな奴……」
え、
う、きしょ、くん……が、わた、しの好き、な人
そっか……
だからか、
いつまで経っても
頭の中に浮所くんしか居ないのは……
雄登に抱きしめられても
雄登に告白されても
ずーっとずっとずっと
頭の中には一人の人しか居ない。
浮所くんの世界で一番幸せそうな笑顔、
いつもニコニコしてるのにたまに見せる
真剣な男らしい顔、
それと、さっきの寂しそうな顔……
なんで今まで気づかなかったんだろう……
私の中がこんなにも浮所くんだらけだということに……
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作者名：来 | 作成日時：2018年12月23日 3時
