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さっきまでは、

意外と普通なんだなぁなんて思ってたけど、

やっぱり太一も色々と抱えていたらしい。







こう弱っている太一も珍しいものだ。






これは相当母性をくすぐられる。やばいぞ私。


だめだ。色々と我慢しろ。

スリスリして撫で回したいだろうが、ここは我慢だ。









「大丈夫だからね」


「……んー」








肩口にうずめられたクセっ毛の頭をよしよしと撫でる。


すると微かに鼻をすする音が聞こえた。







ん?……んんん!!?




ガバッと体を離して太一の両頬を挟んでその顔を確認する。









「え、ちょっ、」


「う、うそ太一……!」








突然のことに目を見開いた太一の目元は涙目になっていて

鼻の先はほんのり赤くなっていた。








……な、ななっ、









「泣いてるううっ!!」








ギュンっ!と胸が思いっきり締め付けられる。







ひいいい!やっぱり泣いてるーーっ!!

あの太一が!この私の目の前で!!!


かんわいいいい!可愛すぎるんですが!!









「違います、花粉症です」


「嘘つけ!そんな急に発症するもんか!」


「花粉症だってば」


「もうなに言っても可愛いよ太一」


「えーもー…やだこの人……」








不機嫌そうに私の肩口に顔をうずめる。

きっと泣き顔を見られたくないんだろう。






あ、鼻水つけないでね。

制服に涙のシミつけないでね。




そう色々と考えることはあるけれど、

こうして太一が私に気を許してくれている事が何よりも嬉しかった。









「ふふ、かわいい太一」


「はいはい」







その後も頭を撫でながら「可愛い」を連呼すると、
太一は諦めた様子で適当に返してきた。



我慢していたものが少しずつ込み上げてくる。








ちょっとだけなら、許してもらえるかな??









「…………………」







ドキドキしながら肩口の頭に顔を寄せて、

そっとクセっ毛の髪に軽く口付けた。





ピクッと太一の体が反応する。





すみません、あとで説教は受けます。

心の中で謝りながら太一の頭に頬を寄せる。





爽やかな制汗剤の匂いと、ほんのり汗の匂い。

あと少しだけエアーサロンパスの匂いがした。

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作者名:nome. | 作成日時:2017年2月12日 0時

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