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｢｢ あっ。｣」
いつもの雰囲気のまま会話をしていると、
私たちの前に現れた1つの信号機。
(……え、もう？)
胸の奥のほうがギュウッと強く締め付けられた。
あの信号機を渡ってしまったら、
私と太一の帰り道は別々の方向となる。
つまりあの信号機で太一とバイバイしてしまうのだ。
｢あ、着いちゃったね｣
｢うん。意外と早く着いたね｣
幸いにもタイミングよく歩行者用の信号が点滅して赤になった。
お互い口数が減って沈黙になる。
次この信号が青になって渡ったらバイバイか。
別にまた学校とかでも会えるのに。
今日で永遠にお別れってわけでもないのに何だか離れがたかった。
もっと一緒にいたい。
そう言いたいけど試合で疲れている太一にそんなワガママ言うのも何だか気が引けた。
いつもの勢いは何処へやら、だ。
視界の隅で反対側の信号機が赤になる。
青、黄、赤…と車道側の信号が順番に変わる。
思わず、ぎゅっと口を閉じた時だった。
｢ちょっと寄り道しますか｣
隣からそう呟かれる。
と同時に大きな手が絡められた。
｢……え、えっ、｣
うまく思考が追いつかなくて。
太一の顔と繋がれた手を交互に見返す。
｢たい、え、ええ？？｣
時間差で今の状況と太一の言葉を理解すると、
嬉しさと恥ずかしさが一気に込み上げてきて顔中が熱くなった。
｢あ。門限とかあります？｣
｢な、ない！全然ないです！！｣
食いつくように返事をすると「ん、なら良かった」と優しく微笑まれた。
｢今日頑張ったんでご褒美ください｣
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作者名：nome. | 作成日時：2017年2月12日 0時
