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｢わ。外すげぇ暗い…｣
｢日が落ちるのも早くなったね｣
部活に戻る太一を、校舎の階段下のところまで見送る。
少し前を歩くその体はやっぱり大きくて。
でも、ところどころ細くて引き締まってて。
くせっ毛気味の襟足が可愛くて。
こんな素敵な男の子が自分を好いてくれてるんだ…
と思うと興奮して鼻息が荒れる。
そんな熱を帯びつつある私とは裏腹に、
窓の外はさっきよりも暗くなっていて、
ひんやりとした空気で満ちていた。
｢しばらく、練習とかミーティングとかで忙しいから、
なかなかAさんと話せたり出来ないかもです｣
階段下あたりまで降りてきたところで、太一が小さく呟いた。
｢うん、…私も、もうすぐ試験だから忙しいや｣
｢そっか。｣
｢ん……｣
･･････。
なぜか、 ｢じゃあ、またね｣と簡単に言えない。
口は動かすことができるのに、上手く声が出ない。
せめて｢部活頑張ってね。｣と言ってあげたい…
何とか名前を呼ぼうと口を開いたとき、
｢あっ。｣と太一のほうが先に話し掛けたきた。
｢付き合いましょっか、Aさん｣
｢…た、えっ！？｣
そして、こちらを振り返ると同時にそう言い放った。
｢ぇ、え！？｣
心臓が慌ただしく動き出す。
いや、待った。このタイミングで！？
ちょっと色々と心の準備がーー…っ！！
｢なぜいま言った！？｣
｢そういえば言ってないなーと思って｣
｢確かにそうだけども！｣
｢え、イヤだった？｣
私が数段上のほうにいるせいか、
太一が上目でこちらを見上げてくる。
その顔は……ずるいなあ、
｢イヤな訳ない、むしろ、よろしくお願いします！｣
頭を下げて、そう答えると、太一は優しく目を細めて笑った。
｢ん。こちらこそ。｣
｢へへっ｣
こうして、この瞬間、
私は正式に太一の恋人になることができた。
『じゃ、部活行ってきます。』
『うん。あっ、太一…！』
『はい？』
『会いに来てくれてありがとう！怪我しないようにね！』
別れ際、咄嗟に敬礼のポーズをしながらそう言うと、
彼も薄く笑いながら敬礼をし返してくれた。
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作者名：nome. | 作成日時：2017年2月12日 0時
