どうですか俺と【川西太一】 (ページ16)

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ミンミンに助言をもらい、勇気をつけたのはいいものの

なかなか太一に会うことはなく1日1日が過ぎてゆく。

バレー部は特に、春高の予選中ということもあり、

なんだか気が張っているようで近づき難かった。

(ミンミンは同じクラスだから大丈夫だけど…)

｢うん。小論文の内容も良くなってたし、
面接もこの間と比べるとすごく良かった｣

｢ほんとですか…っ｣

｢あと、もうひと頑張り。最後まで一緒に頑張りましょうね｣

｢はい、よろしくお願いします。｣

私も私で、自分の受験する所の試験日が近づいており、

指定校推薦で受けるため、
面接と小論文の特訓に労力を惜しまない生活をしていた。

｢……ふぅ、｣

進路指導室を後にし、教室に戻って自分の席につくと、

机の上に頬をつけてぼんやりと窓の外を眺める。

オレンジと紫色の混じった空に、星が1つくっついている。

人の少ない3年校舎に、部活中の生徒たちの声と吹奏楽部の音楽、

他クラスで談話中の女子生徒の笑い声が薄ら聞こえる。

(……あと数ヶ月、か)

数ヶ月後には、この教室や制服、

校舎からの景色ともお別れとなる。

それはつまり、あと数ヶ月で、

太一とも会えなくなっちゃうわけで。

寂しいな…

私がいなくなって、

知らないうちに彼女とかいたら、もうほんとに…

勝手な妄想に目元が熱くなるのを感じはじめた時、

誰かがこちらの方へと向かってくる足音がした。

この姿を見られるのが恥ずかしくて

目元をぐいっと拭ってゆっくりと体を起こす。

誰だ…3年？と廊下の方を見つめると、

｢あ、ホントにいた。｣

｢…は、｣

教室の入り口にやって来たのは、

クラスの生徒でも同級生でも先生でもない、

ここ最近全く会えてなくて

私がいま1番会って話をしなきゃいけない人。

太一本人だった。