小人の彼女 2

残された二人　HS ページ12

俺の頭がキャパオーバーを

起こしている間に、ウォヌは淡々と話を

進めていた。


WN｢もしAがジフンよりあの小さな病弱の

男の子を優先したいなら、残りな。

知りたいこと全部教えてやるよ。

そうじゃないなら、何も言わずに走れ｣


ウォヌは、本気だ。

いつもと同じように冷静だが、いつもとは

違う光が、瞳に宿っていた。


Aは酷く戸惑った様子でウォヌと俺、

ミンハオに視線をさまよわせていたが、すぐに

ゆっくり深呼吸をしてウォヌを見つめ返した。


『気付かなくて、ごめんなさい。

ウォヌ、私は貴方のおかげで今ここにいます…

あの時私がその言葉の意味を知っていたら、

確実にこう返してた。









…死んでも良いわ』









Aは深く礼をして、走っていった。


WN｢…狡いやつ｣


ウォヌは驚いたように立ち尽くしていたが、

すぐ我に返ったようだ。ミンハオを鋭く

見つめ胸ぐらを掴んだ。



…胸ぐらを掴んだ！？！？



HS｢お、おいウォヌ｣

WN｢ハオ、良くきけ｣


いつもより数段低い声に、俺は思わず足を

止めた。


WN｢俺はもう満足だ、お前はどうする？

ジフンに公園に行けと言うか、知らんふりして

お前が公園に行くか、お前に任せるよ。

後悔するな｣





ウォヌは早口で言い切り家に入った。





MH｢…ホシヒョン、｣


芸名で呼んだのは、わざとか否か。


HS｢そ、そりゃ先に帰るっつったんだから

やっぱ家にいるよな。ウォヌ、嘘つくなんて

酷いよなあ？｣

MH｢ホシヒョン、｣

HS｢ミンハオ…｣


こいつは、ディエイトと徐明浩を強く強く

持っている。プライベートはプライベート、

仕事は仕事。メンバーの中で、一番

割り切れているだろう。メンバーとして、

チームリーダーとして良く見てきたから、

自信を持って言える。



だから多分、こいつは大丈夫だ。

そう思って、口は出してこなかった。



HS｢…でも、違うよな｣


恋愛なんて、誰でもしんどい。仕事に支障を

きたさないからと言って、プライベートが

苦しくない訳じゃないもんな。


HS｢ごめん、ミンハオ｣

MH｢…別に良いです。仕事以外まで面倒見て

貰おうとか思ってないし｣

HS｢でも、｣

MH｢後悔するなとか、無理じゃん｣


ミンハオは悲しそうに目尻を下げた。

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