小人の家政婦 3

月 WZ ページ10

WN「お疲れ」

WZ「ん」


ウォヌと2人の帰り道。

2人とも口数は少ない方なので穏やかな

空気が流れた。


WN「あ、ねえジフナ」


低い声が夜空に響く。


WN「月が綺麗ですね、って知ってる？」

WZ「…なんだそれ」

WN「日本では、これが愛してる、っていう

意味を持つんだよ」

WZ「へえ、」


いかにもウォヌが好きそうな話だ。


WN「小さい頃に教えて貰ってから、

ことあるごとに言ってたんだ、この言葉。

親とか、友達とか、先生とか、

小さい頃好きだった女の子とか」


でも誰も、気づいてくれなかった。



ウォヌは苦笑いを浮かべた。


WZ「知らないから仕方無いだろ」

WN「まあな、でも子供の頃は

割り切れないだろ。毎回拗ねて、

相手困らせてた」

WZ「可愛いなお前」


いつもクールなウォヌにも、そんな時代が

あったのか。


WZ「で、なんで今その話？」


素直に疑問を口にすると、

ウォヌはふ、と口元を緩めて言った。


WN「いや、お前が好きになる相手は、

そういうの分かってそうだなと思って」

WZ「は？」

WN「もし良かったら使ってみな」

WZ「…はいはい」


なんだ、からかいたかっただけか。





見上げると、三日月が綺麗に輝いていた。

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