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13.最後の夏 ページ14

『あぁ、もうすぐ花火始まっちゃうね。』



「あっという間だな。」





祭りも終盤、残すは数分後に打ち上げられる花火を見て帰るだけ。





『すごくすごく楽しかった、今日は本当にありがとう。』



「俺の方こそ。河合といて楽しかったよ。」





河合は微笑んでから遠くを見つめた。


何を考えているのだろうか。大人びて見える。





『岩泉くん、私ね…』





そう言って俺だけを映したその瞳から目が離せなくなった。


俺は考えるより先に体が動いてしまって。


気づけば手を河合に向けて伸ばしていた。





一体何をしてるんだ、俺は。





そう考えていたさなか、





「あっれ〜?岩ちゃんとAちゃん!」


「……あ?」





及川率いる男バレ集団が現れた。





「お二人ですかぁ?」


「岩泉さんもやるようになりましたねぇ。」





相変わらずうるさい花巻と松川。





「わぁぁ!Aさん!」



『こんばんは!矢巾くん!』





抜け駆けしようとする矢巾。





「国見、食べる?」



「ありがとうございます渡さん。

あ、もうすぐ花火始まりますよ。」



「Aちゃんごめんね邪魔して…」





ひたすら出店で買ったものを食いまくってる国見と金田一。


そして、





「二人きり…ねぇ?

様子見てると思ってたら大間違いだけど、俺たちだって邪魔くらいするよ?」





俺にニヤリとしながら耳打ちするクソ川。





『あ!花火始まるよ!』





最後の最後に納得のいかないものとなった高3の夏祭り。





けれど夜空に咲く美しい花をみると、マイナスな感情などは消え去って行った。









…それにしても、及川たちが来なかったら、俺はあの後河合に何をしていたのか。


未知の自分を、恐くて理解したくなかった。

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yuiki(プロフ) - 紫蘇さん» ありがとうございます!男の子視点だったので感情移入しやすい作品を作りたかったので! (2020年1月12日 21時) (レス) id: ecc4c0e98e (このIDを非表示/違反報告)
紫蘇 - 泣きました、めっちゃ良かったです(T−T) (2020年1月12日 21時) (レス) id: 7a199b70b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:yuiki | 作成日時:2019年7月16日 10時

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