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「あ、翔君……？」
冗談を言ってるの？
頭が真っ白になっていく。
えっと……私
なんでココに居るんだっけ？
翔「ボクゥのモン」
呟くように聞こえる声に
意識が鮮明になっていく。
寂しいの？
辛いの？
私の事、母親に重ねてるの？
あの日を境に歪んでしまったんだ。
居場所が無くなるのが嫌なんだ。
「翔君……大丈夫。
私は翔君の物だよ」
翔君を思いっきり抱きしめて
横に一緒に倒れるように
力を加えれば
ゆっくりと翔君も、倒れてくれる
腕枕をして
包み込めばピッタリとくっついて
顔を胸に埋める翔君
頭を撫でれば
服に幼子が、しがみつくように
力を込めて服を握る翔君が
愛おしいと思えた。
「大丈夫だからね…
翔君が不安なら私大学辞めて
働こうかな……
それでも不安なら女子高の事務員とか」
翔「……なんやの」
「私の夢は翔君が世界で
指折りのロードレーサーになることだよ」
翔「……」
「不安要素が私になるなら
それを消してあげることしか出来ない」
翔「不安な訳あらへん……」
「翔君の居場所は消えないよ
いつでも家においで」
トントンと背中を
一定のリズムで
子供をあやす様にすれば
段々と落ち着きを取り戻してきた
不安定な翔君
翔「……ボクから離れて行かんでな」
時折、見え隠れする
小さな子供の頃の翔君の面影
感情……
「行かないよ。
こんな可愛い子独りにはしないから」
頬を撫でながら言えば
目を瞑った翔君
私も一気に緊張の糸が解け
翔君を抱きしめたまま
目を瞑った。
。
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作者名：viran
| 作成日時：2022年4月16日 4時
