お誘い ページ6
顔に集まった熱が冷め、暫く経った時。
「星月ー」
同僚である凛堂が声をかけてきた。
彼とは中学生のときに知り合い、高校、大学を別々に過ごし、社会人になり再会した。中学の頃生意気に染めていた髪は元の黒髪に戻り、まともな大人の雰囲気を醸し出している。
「なんだ凛堂か」
「なんだとは何だよお前…それよりどうよ、柳さんは。」
「どうって…何もないけど」
「その割には仲良さそうに話してたじゃん」
雰囲気とは対象的で、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべる凛堂。
彼は僕が柳さんに好意を寄せていることを知っていて、僕の話を聞いてくれる唯一の存在だ。
それでもできれば余計な詮索はしないでほしい。早く話を終わらせたくて、彼を睨みつける。
「用事がないなら戻れ」
「お前いつからそんなに冷たくなっちゃったの…」
わざとらしくしょげている凛堂に良いからさっさと戻れと伝えて、自分の仕事を再開する。
しかし彼はまあ聞けよと言い、離れる気配がない。仕方がなく耳だけ傾けることにした。
「……ここに駅前の居酒屋の割引券が2枚ある。誰と誰の分か、分かるよな？」
予想外の彼の言葉に驚き、顔を上げた。不敵に笑った彼の顔が視界に映る。
「お前…」
「俺って良い奴だろ？柳さんと行くも良し、もちろん俺を誘うも良し！」
「お前のことは誘わないし本当に良い奴は自分のこと良い奴って言わない」
「まあな」
僕の言葉にケタケタと笑い、まあ頑張れよと一言つけ足して2枚の細長い紙を手渡される。そして彼は自分の仕事に戻った。
彼から渡された割引券をまじまじと見る。薄い緑色の紙には、店名の横に大きな文字で1000円分割引と書いてあり、その下には店の電話番号、住所などが小さく書かれていた。裏面にこじんまりとした周辺の地図がある。
直接礼を言うのは癪なので、せめて心の中でそっと彼に感謝をする。
明日にでも柳さんを誘ってみよう。
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和風味噌和え丼(プロフ) - らいふさん» コメント、そして嬉しいお言葉誠にありがとうございます！読んでてほっこりできるようなお話が書きたかったので、そう言って頂けて本当に嬉しいです…！更新ペースは遅めですが、これからも何卒よろしくお願いします。 (2017年11月22日 4時) (
レス) id: 7ade5801cb (このIDを非表示/違反報告)
らいふ - ほわほわしてて、とてもほっこりしました。Rが付くようなお話は、苦手なもので、楽しく読ませていただきました。 次話も楽しみに待っています。 更新、頑張ってください！！ (2017年11月22日 1時) (レス) id: 378f2d202e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和風味噌和え丼 | 作成日時：2017年9月10日 23時
