裏話。【虹の世界】 (ページ2)

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植物園の人形のお話ページ2

日に日に、俺の体が人じゃなくなるのがわかる。

俺の植物園には今日、朝から客人が来る。
昨日から連絡が来ていた為、逃げもせず待つことにした。まぁ、断る理由もないし良いだろ？
俺が植物園中央にある休憩所に座っているとそいつは来た。
そいつは体を縮こまらせて問いかけてくる。
｢陸君、体の方はその…大丈夫？｣
｢大丈夫なわけ、ない…だろ。｣
そっか…といって従姉妹の千歳は黙る。
まぁ座れよと促すと、素直に千歳は向かいの椅子に座った。
いつものボサボサのおさげに地味な眼鏡、協調性がないのか友達もいないこいつは、さっきよりも気が沈んでいる。
多分俺の奇病の治療法を掴められなかったことに罪悪感があるのだろう。
(そんなこと、今更だ……)

俺は奇病を患っている。いつからか体が人形になり始め、まともに学校生活も送れなくなった。
…いや、学校生活は送れたが俺の精神が耐えられなかったんだ。
一時期は自暴自棄になって情緒不安定になったこともあった。けど、そんなときでも寄り添ってくれたのはこいつだけ。
いったい俺が千歳に何をしたのか分からないが、何故か気にかけてくれる。

(俺なんか気にせず、好きなことしてればいいのに)

｢なぁ、お前のとこの兄さんはどうなんだ？｣
このまま沈黙だと気まずいと思い、俺は椅子に腰掛けてからずっと俯いてるそいつに話しかける。
すると急な質問をされてわたわたしつつも返してきた
｢あっ、えっと…兄さんってあの……？｣
｢そう、あいつ。｣
｢ま、まぁ…それなりには…｣
｢…………あっそ。｣
つまらないことを聞いてしまったなぁ。
こいつはなんで本当の兄さんには感心が無いくせに、俺にはこうして……
｢ご、ごめんね…陸君……｣
｢……は？何が？｣
千歳は俺の質問と同じぐらい急に謝罪をしてきた
なぜ？なんで？今ので気分が悪くなったと思われた？
いや、別にそんな雰囲気はだしていないはず。
じゃあ…………なんで…………？

千歳は俺が聞き返したことに応えようとしてる。けど上手く言葉に出来ないらしく目線が泳いでる。
……これは、纏まるまで俺は黙っているしかない。
けれどずっとここにいるのは俺も千歳もキツい考え、俺は千歳に｢少し花の様子を見てくる｣と伝えそそくさとその場を離れた。

離れた時、少し振り返った
千歳は今にでも泣きそうな顔をしていた。
その表情は植物園にそそぐ希望の様な光とは対象的で
酷く自分が惨めに思えた。

。