百五十七 ページ7
「悪かったって‼」『そんなにご飯が欲しいですか』「何の為にここ来てんと思ってんだ、飯の為だ‼」『死んでください』
なんてやり取りを終え夕飯時。
ちゃっかり旦那は食卓に混じっている。そして新八くんと神楽ちゃんもそこに加わっている。
「Aさん今日もすみません」
『気にしないで、もう日常だから』
「A‼これ美味いアル‼」
『いっぱいあるから残ったら持って帰って』
お手伝いさんたちは最初こそ戸惑っていたが、人間順応なもんで料理の数も多くなり量も多くなりと。
流石だなと、それ以外に言う言葉はなかった。
ただ二人が来るときはいつも旦那と一緒だったから、今日みたいにバラバラで来るのは初めてだった。
その所為でお手伝いさん達が久しぶりに走り回っていたのを見た。
聞こえてないだろうけどごめんなさいと謝っておいた。
「で、お前ェらどーだったんだ?」
二人に何かを頼んでいたらしく旦那がそう聞けば口に入れたものを飲み込んだ新八くんが頷いた。
「気にしてはいるみたいですが自分からは…って感じで」
「周りの連中もあからさまに元気がなかったアル」
『…一体なんの話?』
読めない。
察しはいい方だと自負していたが流石にこれは読めなかった。
首を傾げれば「真選組の話だ」と旦那。
(ーー…元気がない?なんでまた…)
馬鹿で煩くて仲間思いで、そんな彼らが落ちてるのは何故なのか。
…考えてもわからない。
こんなの初めてだった。
その答えは旦那の口から発せられる。
「A、お前がいなくなったからだ」
『私…?』
「当たり前が当たり前じゃなかった、それに気付かされたんだよアイツら」
『旦那…私…』
その先を言えば旦那は頷いた。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年10月26日 11時