百八十二 ページ32
途端、響いた爆発音と視界の先にあるオレンジ色に全てを悟った。
止めていた足を動かして式場へと着けばそこは火の海。
参列者達は悲鳴を上げて逃げ惑う。その中から目的の人物達を探し出す。
『新八くん‼』
「Aさん‼」
「お前ェら無事か⁉」
所々が焼けてボロボロになった白無垢を着た新八くんに駆け寄れば、その背にいたのは神楽ちゃんとお妙さん。
見る限り服はそれなりにボロボロになっているけれど大きな怪我などはなさそうだった。
「銀ちゃん!どうなってるネ‼」
「そりゃこっちが聞きてェよ、何があったんだよ」
「突然、刀を持った男が押し入ってきて周りがざわついてると新ちゃんが駆け寄ってきて…そしたら…」
『…新八くん、君は何が見えたの』
少し震える肩に手を置くと、彼は少し潤んだ瞳を私に向けた。
「男が何かのスイッチを持ってるのが見えて…もしかしたら、と思って姉上と神楽ちゃんに駆け寄ったらそのままドカンと」
『その男は?』
「すみません、そこまでは…」
『…ごめんね、巻き込んで』
「A、どうなってるアル‼」
掴みかかる神楽ちゃんを離して旦那の方へと押しやる。
『火の手が回るうちに早く外に』
「でもAちゃんは…」
『私は菜々子さんを探します、大丈夫です、必ず外に出ますから』
三人はそういえばと辺りを見渡すが、逃げ惑う参列者の波と火の海のせいでその姿は見当たらない。
そして、神無月に飯島の姿もない。
…お祖父様も。
それには旦那も気付いたらしく舌打ちを一つ落とした。
「A、コイツら外に出して戻ってくっから下手なことすんな」
『…分かりました』
旦那に連れられて新八くんたちは波に飲まれるように姿を消した。
あんなにいた人間が今は誰一人としていなくなった。轟々と音を立てて火が大きくなっていく。
この騒ぎを聞きつけていずれは見廻組、または真選組が派遣されてくるのは間違いない。その前に私が片付けなければ。
『隠れてるなんてよっぽど臆病なんですねー。…くっだらね。早く出てこいよ。
蘭』
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年10月26日 11時