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私の言葉を聞いて、啓悟くんはほんの少し眉を寄せた後、髪の毛を拭く手を止めて、私の頭に手を乗っけた。
そして髪の毛を漉くように撫でるとそのまま私の後頭部をぐっと自分の胸元に寄せた。
ホ｢…別に無理に言えって言ってるわけじゃない。でもさ。…心配してるんだよ俺」
『…うん、ごめん』
ホ｢謝って欲しいわけじゃないんだよなー」
啓悟くんはそう言いながらため息をついた。
そして労わるように私の頭をふるふると撫でる。
ホ｢Aが頑固なことなんてとっくの昔から知ってる。今回だって動揺したとはいえまさか意図的に意識を飛ばすとは思わないよね」
Aってときどきすごい思考が短絡的だよね、と言う啓悟くんは呆れたように再びため息を吐き、私の頭に自身の顎を置いた。
『…あご痛い』
「俺に情熱的な言葉死ぬほどかけられるのとどっちがいい？」
『選択肢くそじゃん』
そんなの選択肢あってないようなものだよねもう。
頭の中で文句を垂れながら啓悟くんのしれるがままになっていると、私はふいに思った。
『…そういえばなんで啓悟くんここにいるの』
あまりにも彼の態度がナチュラルすぎて気づかなかった。どうして君はここにいるんだ。
思い出したかのように疑問を呈した私に、啓悟くんはけろっとした表情で口を開いた。
ホ｢普通にAの体育祭見て心配だったのと、あとあれ」
———そろそろ体調崩す頃なんじゃないかと思って。
『……なんでAの体調を把握してるのかは考えないでおくね』
あまりにも平然のそう言い放った彼の言葉は紛れもない事実で。
軽く鳥肌が立ったことは言うまでもない。
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作者名：ひな | 作成日時：2023年3月16日 22時
