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8話 ページ8

『なん…て、』





「お前大丈夫かよ」



ふわりと耳に届いた声



遠のいていた意識が呼び戻されるかのように

じんわり、じんわりと


目を覚ましていく


『…松野』


しっかりと意識を取り戻して、もたりと押し上げた上半身

声の下方へと目線を遡らせるとそこには呼んだ名前の本人が



『金髪だ』



私の言葉に面食らったのか瞳孔が開かれたのを微かに感じ取るも

直ぐにいつもの不服そうな表情に戻る。


気のせいだろうか
さっきまで動揺を映した瞳は


どこか安堵の色を帯びているようにも伺える。



千「初めて会った時から俺の髪色変わった事ねーだろ。

5限からシ.んだように寝てたかと思ってたら…


相当、寝ぼけてんな」



『ごめん、寝ぼけてる』



「はぁ? おい、本当にどしたんだよ…なんか怖ぇ」



ヒ「Aちゃん大丈夫?

すごい汗だよ…」



いつの間にやら私の目の前で宥めるように頭を撫でてくれるヒナちゃん



『ヒナ、ちゃん…』



脳裏に鮮明だけど荒々しく流れ込む



雑音まみれで(どよ)めき叫ぶ声に耳を塞ぎたくなるテレビの音

薄暗部屋では刺すように眩しく感じる液晶画面

電話もメッセージも鳴り止まない着信音



あふれる…こぼれる…


焦るように、せぐり上げてくるような


悲しみ


絶望感

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作者名:graybear | 作成日時:2023年5月7日 22時

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