3話 ページ3
『敦君のこと。
きっと、私にとって大切な存在なんだよ。
大切だからこそ、お互いの生き方を尊重するあまりに付き合えないの』
びっくりした…
真っ直ぐに目を見て言われるもんだから自分の事だと勘違いしたじゃねぇか、くそ。
「そんなん言い訳だろ。 高校の頃に付き合ってれば少しは違ったんじゃねぇか」
そうだ、いっそ付き合ってくれてた方がいい
そしたら、こっちだって諦めがつく。
『…松野には言ってなかったんだけどさ
敦くんと私ね
高校の最後の方
実はこっそり付き合ってたの』
あー…
「っそう、かよ」
『はは、興味なさそ』
知らなかった。
「別に、そう言うわけじゃ」
いっそ、興味が無けれりゃ良かったのに
『…ほんの瞬きの様だった。
そう思うくらいに隣にいるのが楽しかったの。
でも、お互いの進路がかなりしっかりしててさ。
恋人との時間を取るより、仕事を実現する道を歩いちゃって
お陰でこのザマよ』
こいつが、こんな大人びた表情する事も知らなかった。
俺なんかが隣に並ぶことすら烏滸がましくて
相も変わらず進まない
この関係に甘んじている俺が
とてつもなくちっぽけな存在に思えてくる。
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作者名:graybear | 作成日時:2023年5月7日 22時